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外壁の防火構造に大きな問題あり

積水ハウスのシャーウッドは建築基準法23条に違反している!(2/3ページ)

岩山健一岩山健一

2016/07/29

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木造のシャーウッドは型式認定を取得できるはずがない

これによって、個別の建築確認を受けていれば問題視されるような建物であっても、建築確認が取れてしまうことになります。そして、特に積水ハウスにいえることなのですが、本来は設置しなければならない基礎底盤鉄筋を設置しなくてもよいように型式認定を取得しています。

この型式認定適合制度の是非については、また別の機会で触れたいと思いますが、要するに、事前に認定を受けておくことで、鉄筋の入っていない基礎や、薄くて細い鉄骨の使用が認められてしまうのがこの制度です。

とはいえ、この型式認定制度の認定を受けるにはふたつの条件があります。ひとつは、すべての部材の3分の1以上を認定された工場で製作すること、もうひととは建築現場を一級建築士に管理させることです。

しかし、木造であるシャーウッドは、すべての部材の3分の1以上を認定工場で制作するという2番目の条件を満たすことは、常識的に考えて無理があります。そのため、型式認定の取得は不可能だということがわかります。にもかかわらず、シャーウッドは型式認定を取得しているが如く鉄筋の入っていない基礎で建築しています。これはどういうことなのでしょうか。

シャーウッドはシステム上、建築基準法違反になる!?

もうひとつの重要なシステム上の問題は、建築基準法23条に対する違反です。そこでは、一般の木造住宅については、延焼の恐れのある部分に該当する外壁面においては、防火構造としなければならないと定められています。

これは具体的にどういうことかといえば、
・外壁面の室内側に防火被覆として張られている石膏ボードが天井裏にまで達してなければならない
・屋根の妻壁にも石膏ボードが防火被覆として張られていなければならない
といった条件が満たされていなければならないということです。

しかし、このシャーウッドは、システム上、それらの防火被覆を施工することができない施工方法が確立されています。したがって、シャーウッドは基礎構造および外壁の防火構造において、建築基準法違反となるのです。

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この記事を書いた人

株式会社日本建築検査研究所 代表取締役

一級建築士 建築ジャーナリスト 大学で建築を学び、NHKの美術職を経て建築業界へ。建築業界のしがらみや慣習に疑問を感じ、建築検査によって欠陥住宅を洗い出すことに取り組む。1999年に創業し、事業をスタート。00年に法人化、株式会社日本建築検査研究所を設立。 消費者側の代弁者として現在まで2000件を超える紛争解決に携わっている。テレビ各社報道番組や特別番組、ラジオ等にも出演。新聞、雑誌での執筆活動も行なう。 著書にロングセラー『欠陥住宅をつかまない155の知恵』『欠陥住宅に負けない本』『偽装建築国家』などがある。

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