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ACLは「百害あって一利なし」!?

”売り”のはずの断熱性に疑問! ヘーベルハウスに泣かされた3つのケース(3/3ページ)

岩山健一岩山健一

2016/07/15

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「4階建てが建設できる」と言われたから契約したのに…

Cさんは都内の駅近くの商店街に面した土地を購入しました。飲食店が立ち並ぶ一角に、1階を貸店舗に、その上を貸家と住居にしようと考えたのです。
最初はハウスメーカー数社に設計を依頼しましたが、ほかの会社が「この土地では3階建てしか建ちません」と口を揃えて言うなか、へーベルハウスだけが「4階建てが建設可能です」と言ったのだそうです。

そこでCさんは、へーベルハウスだけが4階を建てられる技術的にも優れた会社だと考え、即刻契約に至りました。ところが実施設計を進めて行く過程で、ヘーベルハウス側から、法規制により4階建てが建てられないことを告げられたのです。

4階が建つということで、他社よりも高額な見積もりに対しても合意して契約したわけですが、3階しか建たないというのです。当然、契約金額は3/4になるのかと思いきや、当初の見積もりからほとんど変わらない金額での再契約が行なわれました。

Cさんは、この時止めておけばよかった、と当時を振り返ります。どこか納得できないながらも、それまでの関係性を信じたCさんは、へーベルハウスとの契約を続けましたが、また新たな問題が浮上したのです。

建物が上棟したときに、Cさんは自分の敷地が、前面道路より低く掘り下げられていることに気づきました。受け取っている図面では道路と高低差なしの表記です。

これを問いただすと、担当者は「工業化認定ですから」と一言。柱の長さを変えられないから、道路斜線などに当たった場合は、GL(グランドレベル:地面の高さ)を下げるのだと言い放ちます。

自分たちの都合を消費者に強要しているだけ

Cさんはこれに対して、「冗談じゃない、そんな話聞いてない」と反論します。そこで気づいたのですが、通常の注文建築は、階高などに関しても注文の性質や内容に応じて、任意の高さにすることができなければならないはずが、へーベルハウスにはそれができないということなのです。

要は、工業化認定の名の下に、自分たちの都合の良い建て方を消費者に強要しているに過ぎないのです。そして私が検査してわかったのですが、地盤を掘り下げる工事に要する費用まで、見積もりのなかに計上されていたのです。

柱の長さを変えられないのは、へーベルハウスのシステムが不完全であるからにほかなりません。にもかかわらず、何の説明もせずに、図面では良いことを描いておきながら、余計にかかる費用については、それをすべて消費者に転嫁するとは、モラル以前の問題ではないでしょうか。

とにかくヘーベルハウスの性能はきわめて低く、工業化認定といわれるシステムそのものも問題があるといわざるを得ません。これからもこの会社の問題は増えるであろうと予測されます。

私は、日本にはこれ以上鉄骨を使ったプレハブは必要ないと考えています。これからの時代は家を量産する必要がないのですから、鉄を使う必要もありませんし、したがって認定を取る必要もないのです。ですから、ヘーベルハウスは、もう社会にとって必要がないのです。

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この記事を書いた人

株式会社日本建築検査研究所 代表取締役

一級建築士 建築ジャーナリスト 大学で建築を学び、NHKの美術職を経て建築業界へ。建築業界のしがらみや慣習に疑問を感じ、建築検査によって欠陥住宅を洗い出すことに取り組む。1999年に創業し、事業をスタート。00年に法人化、株式会社日本建築検査研究所を設立。 消費者側の代弁者として現在まで2000件を超える紛争解決に携わっている。テレビ各社報道番組や特別番組、ラジオ等にも出演。新聞、雑誌での執筆活動も行なう。 著書にロングセラー『欠陥住宅をつかまない155の知恵』『欠陥住宅に負けない本』『偽装建築国家』などがある。

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