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相続した親の家・空き家売却の「落とし穴」 うっかりミスで所得税がウン百万円アップも!?(2/2ページ)

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2021/05/20

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不動産契約書類をなくした場合、所得税はいくらかかるか

Aさんは、売却にあたって不動産業者から「ご両親が家を購入されたときの契約書を見せてください」と言われた。だが、肝心の契約書が見当たらず、正確な購入時の価格も分からない。親から「3000万円で買った」と聞かされただけのAさんは途方に暮れてしまった。

このように契約書類を紛失してしまった場合、「譲渡所得税」はどうなるのか。

「仮に2000万円で売れる物件を相続した場合、不動産を買った時の契約書類は、購入金額の証拠です。買値が分からない場合、取得費は売値の5%とみなされてしまう。契約書がないと、売却価格の2000万円の5%、つまり100万円しか引かれないことになります。Aさんの場合、所得税は1900万円の20%。つまり、380万円の税金を払わないといけません」(秋山税理士)

購入時の書類があって、親と同居していた家を売却した場合、居住用財産とみなされ「3000万円の特別控除」の対象となる。譲渡所得のうち、最高3000万円まで控除されるので、Aさんが契約書類を紛失しなければ、所得税はかからなかったのである。

「契約書類を捨ててしまったとか、紛失しているせいで、国産高級車が買えるような金額を払う羽目になる事例は意外とあるんです」と秋山税理士。

また、被相続人と同居していなくても、亡くなった人が住んでいた居住用資産を売却する場合は、一定の条件のもとで、相続が発生した日から3年目の12月31日までに売却すれば3000万円の特別控除[現在における適用期限は令和5(2023)年12月31日まで]があり、これも同様な書類が必要になる。

こうした書類がない場合は、売買契約の相手方と仲介に入ってもらった不動産会社に再発行を依頼することはできる。売買契約書のコピーなどを再発行してもらう場合は、先方の署名・捺印をもらっておく必要がある。

とはいえ、書類を紛失していまっていては、誰から買ったか確認するのも大変だろう。また、それが分かっても不動産会社が倒産や廃業していれば、それも不可能だ。

こうしたことにならないようするには、元気なうちから重要書類の保管場所について、気軽に話して把握しておくなど、「ちょっとした工夫とコミュニケーション」が必要だ。

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この記事を書いた人

記者・ライター集団

政治、経済、ビジネス、マネーなどさまざまなジャンルを取材、執筆活動を行っているフリージャーナリスト、ライター、カメラマンなどによる叶舎LLC.の取材チーム。

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