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不動産取引をめぐる見えないお金の流れ(2)

不動産業界の悪しき慣習、「担当者ボーナス」とは?(2/3ページ)

大友健右大友健右

2015/12/25

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「片手」より「両手」、「両手」よりも「両手片足」!?


(図1)担当者ボーナスは何のために支払われるのか

買い主と売り主の両方から仲介手数料が支払われる取引は、「両手取引」となりますが、さらに担ボーがつく場合、業界ではこれを「両手片足」などといいます。
たとえば、5000万円の物件の売買取引を「両手片足」で仲介した場合を考えてみましょう。担ボーは仮に150万円とします。

この取引による収入は…、

(1) 買い主から受け取る仲介手数料  5000万円×3%+6万円=156万円
(2) 売り主から受け取る仲介手数料  5000万円×3%+6万円=156万円
(3) 担当者ボーナス  150万円

買い主と売り主からの仲介手数料が312万円、さらに担ボー150万円がついて合計462万円になります。片手取引の場合は126万円しか儲けがないわけですから、その差は歴然としています(図2)。

担ボーつき物件を売れば手っ取り早く儲かる

では、ここで考えてみましょう。担ボーがつくような物件とは、どんな物件でしょうか?

よく考えてみてください。実際のところ、多くの人にとって価値があると思える物件は、広告を出さずとも自然に売れていきます。その反対に、価値を感じられない不人気物件はなかなか売れません。
売り主としては、早く手放して利益を確定したいところです。 売り主が担ボーを提示するのは、まさにそういうときなのです。

したがって、「担ボーで儲けたい」と思っている仲介業者の営業マンは、売れ残っている不人気物件ばかりをお客に強くすすめる、ということになってもおかしくありません。

そんな不人気物件をすすめられても買う人などいないだろう、と思うかもしれません。でも、不動産は家電などの商品と違って、店頭に商品が並んでいるわけではありません。買い手、つまり消費者は自分で商品を調べて比較検討し、自分で選ぶことができないのです。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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