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管理会社が管理を拒絶 分譲マンションで起きている「破綻」とその理由(2/2ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/10/21

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小規模で古いマンションが危ない?

ざっと以上4つを並べたが、こうした理由が通常は複数重なることによって、マンション管理会社による管理委託契約の更新辞退、すなわち管理の拒否が起きやすくなる。

また、同じ背景から、「管理委託業務費値上げの要望を管理会社から受けた管理組合が、これを不満とし、他の管理会社に交代を打診したが、応じる会社が無い」、さらには、「見積りが高いのを嫌い、契約中の管理会社へは修繕工事を発注して来なかった管理組合が、それが裏目に出るかたちで契約更新を拒否された」といった事例も、最近はよく聞かれるところとなっている。なお、こうした状況に陥りやすいマンションの特徴として、「築古」と「小規模」は、多くが挙げるところだ。このうち築古については、当然ながら、建物とともに住人も高齢化していることが多い。

一方「小規模」の方は、修繕資金におけるスケールメリットの問題を要は指している。

すなわち、戸数の大きな物件に比べ、各戸ごとの負担額は同じであっても、修繕積立金等が総額としては早期に大きく積み上がりにくい宿命を小規模物件は背負っている。

これがマイナス要素となることで、管理会社の管理拒絶対象に小規模なマンションはあてはまりやすくなるといわれている。

「築年が古い50戸程度以下のマンションは、管理会社にとって望ましい商売の相手にならない。両者の関係存続は危うい」

などと、近ごろ囁かれることの多い理由が、以上といったところだ。

小規模マンションだから危機を回避できる?

そうしたわけで、管理会社に管理を拒否されたうえで、あとを引き継ぐ会社が現れない場合、そのマンションは、最終的には住人による自主管理を選択せざるをえなくなる。

もちろん、自主管理といっても、全部でなく一部に留めることができたり、専門家にアドバイザーになってもらったりと、かたちはさまざまだが、いずれにしても行く手は厳しいものになりがちだ。しかしながら、ここで小規模なマンションの場合、逆にメリットを発揮しやすくなることも事実だ。なぜなら、規模が小さいだけに、素人でもある程度管理しやすい建物であることが多いためだ。

加えて、住人の数が少ないことで、意思決定がスムースに運ぶ可能性も高い。

そこで、こうしたメリットを上手に生かすことができれば、訪れた危機をよいきっかけに、良質なコミュニティを育てていける環境が、小規模なマンションでは見出しやすいともいえるだろう。

分譲マンションにおける自主管理に関しては、資産価値の面でマイナスとの見方や、金銭着服の温床となる可能性への指摘もある。だが、現実として管理会社に突然見放されてしまうようなことがマンションに起これば、そうした不安もとりあえず措かざるをえない。住人はみんなで前に進むしかない。

分譲マンションを買って住むということは、クルーズ船の客になるということではない。責任あるクルーの一員になるということなのだ。

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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