隣の部屋の様子がおかしい! まさか犯罪? 賃貸で出会った衝撃の体験
賃貸幸せラボラトリー
2024/08/24
隣の部屋の様子が気になって……
新居に引っ越した際、周りの部屋へ挨拶に出向く人も少なくなった近ごろの賃貸マンションやアパート。
「隣の部屋の様子が変……。そもそもどんな人が住んでいるのかも知らないし、犯罪でも起きていないか、気になって仕方がない……」
そんな悩みを抱えている人もいるかもしれない。
そこで、以下では、そんな人を脅すわけではないが、
「おかしいと思っていたら、こんなことが起きていた!(起きていたのかも)」
実例を挙げていこう。
こういうことも実際にあるのだと、頭の片隅にメモしておいてほしい。最後に、アドバイスも添えておく。
1.隣の部屋からおかしな声が……! 違法風俗店が開業していた
首都圏のとある街。賃貸マンションの一室に暮らしていた若い女性のAさん。ある日、空室だった隣の部屋が埋まったことに気付いたそうだ。異変はその数日後に始まった。
「昼間から聞こえてくるんです。夜に男女がベッドで出すような声が。人の出入りも多くて、ドアの開け閉めの音が1日中響いていました。深夜になると、決まった時間に誰かがやって来て、洗濯機も回しているようでした」
何かおかしなことが起きている……。Aさんは友人の男性に相談したそうだ。
すると……
「話を聞いてピンときたよ。ネットで探してみた。場所を明かさずに営業している男性向けのマッサージ店だ。おそらく違法な風俗店だろう。君のマンションのすぐそばにある信号を目印に、ここまで来たら『電話をかけて』と客を案内している。最近開業したらしい。多分これだよ」
驚いたAさん。数日悩んだ末、管理会社に電話をかけたそうだ。
「私が通報したことは絶対に秘密で」
と、念押ししたうえで、様子を調べてもらったという。
結果、やはりAさんの住む部屋の隣には、「メンズエステ」を名乗る店が、業種を偽って入り込んでいた。ちなみに、Aさんのマンションでは、士業など、小規模な事務所での部屋の利用は「可」となっている。
管理会社曰く、
「調べたところ『エステ』としてのサービスだけでなく、無届けでの性的サービスや、売春も行われていたようです。売春は店の指示なのか、一部の従業員が勝手にやっていたのか分かりませんが、Aさんのお耳に入っていた男女の声はその際のものでしょう。この店にはすぐに出て行ってもらいます。我々の入居審査が至らず、大変ご迷惑をおかけしました」
「壁を1枚隔てた向こうで犯罪が」―――と、Aさん、その時は大変なショックを受けたそうだ。
なお、こうした話は、いわゆる駅近や、繁華街に建つ物件などでは時折聞かれるものだ。売春などの実行や、指示、強要だけでなく、客にわざと禁止行為をさせた上での恐喝や、逆に従業員の女性が客に暴力をふるわれるといった事件もよく明るみに出る。
2.数年後に判明! 隣の部屋から漏れていたニオイの正体
駅から徒歩20分程度と遠い、ある街の郊外に建つ賃貸マンションに暮らしていた男性・Bさん。隣の部屋から漏れてくる「ニオイ」に悩まされていたそうだ。
「甘ったるいニオイです。重たい感じもするニオイです。隣の部屋のドアの前を通る際など、それが時折鼻を突いてきました。廊下や、ベランダの周囲に漂っていることもありました。ひどい悪臭、というわけではなかったものの、嗅ぐのを強いられるこちらとしては、当然気分がよくありませんでした」
そんな、近所迷惑なお隣さんだが、引っ越して来たのはBさんよりもあと。当初は女性の1人暮らしに見えたそうだ。
「ですが、そのうち男性がしょっちゅう出入りするようになりました。間もなく、同棲に近い状態に……」
それとともに、ニオイも漏れ始めたという。
「我慢しながら、その後半年以上が過ぎました。やっと彼らは引っ越して行きました。ニオイから解放されて1年、僕も翌年そこを退去しました」
そして数年が経ち、Bさんは、ひょんなところでそのニオイをまた嗅ぐことになったのだという。
「外国です。仕事である国を訪れました。ニオイの正体が判りました。大麻です。間違いありません。あのお隣さん、部屋で吸っていたんでしょう」
大麻については、その使用だけでなく、マンションやアパートの一室で栽培されていたとの事例も多い。賃貸物件内で時々起こり、大きく報道されたりもする事件のひとつとなっている。
3.虐待だ! 子どもの泣き声に異常を感じ、警察に通報
これは、隣の部屋ではなく「隣の物件」であった話だが、紹介したい。
約20年前、東京都内に建つ古いアパートの2階に住んでいた、当時30代の男性・Cさん。部屋の窓の数メートル先に建つ隣の賃貸マンションの、Cさん宅からは斜め上に位置する部屋から、子どもの泣き声がしょっちゅう聞こえてくるのが気になっていたという。
「女の子でした。4~5歳くらいです。泣き声とともに、女性の大きな怒鳴り声がいつも響いて来ていました」
それは、異様なくらいに激しく、子どもを怒鳴りつける声だったという。Cさんは、騒ぎが始まるたび、いつもソワソワ、ドキドキとさせられていたそうだ。
「きっと母親だろう。怒鳴っているのは。子どもは女性をママと呼んでいる。それにしても、なぜあんなに怒るのか。父親はいないのか。かわいそうでたまらない……」
そんなある日、Cさんは意外なものを目にしたという。
「実は、私はその日まで、問題の部屋の子どもは女の子1人だけだと思っていたんです。ところが、ある日、建物の外階段を降りて来る親子の姿をたまたま見かけたところ、子どもがもう1人いるんです」
その子は男の子。女の子の1~2歳くらい上の兄のように見えたそうだ。
Cさんは、ハッと思ったという。
「もしや、この家ではきょうだいのうち女の子の方だけがいつも怒鳴られているのでは。気に入らない子だけを親が集中的にいじめている……?」
Cさんは決めたそうだ。
「近ごろは何かモノを投げつけるような音も響いてくる。同じマンションの住人たちが無関心でいるとしたら、もう危ない。次に何かあったら僕が警察に言おう……」
「次に」は、ほどなく起こったという。
ある晩、Cさんが外出先から戻ってくると、隣のマンションの玄関から例の女の子が泣きながら飛び出してきたそうだ。しかも足元を見ると、なんと裸足。
女の子はそのまま住宅街の暗い路地に消え、間もなく、その後ろから母親が鬼のような形相で、女の子の名前を叫びながら追いかけて来たという。
Cさんは、迷わず警察に電話をかけたそうだ。
状況を告げた上で、これまでの様子についても詳らかに話し、対応を依頼した。
「その夜はひどく静かでした。親子は部屋に戻ったのか、どうなったのか、全く分かりませんでした。ただ、その日以降、泣き声も怒鳴り声も、なぜかピタリと聞こえなくなりました。警察沙汰になったことで、誰か関係者が動いたのかもしれません」
Cさんは、その後もモヤモヤとした思いを抱えつつ、約半年後、自身の都合によりアパートを退去した。
「なので、その後の親子について、僕は何も分かりません。ですが、あの泣き声や怒鳴り声はとにかく異常でした。部屋の中で暴力が振るわれていた可能性もあったと、いまは感じています。あれから20年以上が経ちました。あのことをよく思い出します。女の子はもう20代の大人でしょう。幸せになってくれていることを心から祈っています……」
児童相談所虐待対応ダイヤル「189」(いちはやく)
以上、賃貸住宅での生活で、誰もが出会うかもしれない3つの実例を紹介した。
なお、断っておきたい。これらのうち2の「大麻」と3の「児童虐待」については、あくまでそれが疑われるまでの事例となる。Bさんも、Cさんも、さまざまな状況から「間違いない」と判断しているが、現場を見たわけではない(裸足の女の子を除いて)。
1の「違法風俗」についても、そのうち売春が行われた疑いにあっては「疑い」のままだ。確かにAさんはそれと思われる声に悩まされた。おそらく行為はあったのだろう。だが、証拠を得ていたわけではない。
ところで、ほかによく聞かれがちな賃貸の部屋を舞台とした犯罪の絡む事例としては、特殊詐欺など、詐欺に関わるものがある。
金品の受け取り場所や、詐欺の電話をかける拠点などとして、アパートや賃貸マンションの一室、あるいは一戸建て賃貸が使われるというものだ。こちらも、知っておくといいだろう。
そのうえで、こうした――賃貸・隣室での犯罪――について(起こるのは賃貸に限らないが)、それに気がついたり、疑いを感じたりした場合、われわれはどうしたらよいのだろう?
「すぐに管理会社や警察に連絡」と、いうのがやはり正しい答えにはなるが、迷う人も少なくないはずだ。
「自分の判断は正しいのか」「こちらにリスクがふりかかるのは困る」―――。
そう悩む人に対し、行動の強制はもちろんできないことになる。冒頭のAさんも、管理会社へ電話をかけたのは、友人の話を聞いたのち、数日悩んだ末のことだ。
ただし、以下のことははっきりと伝えておきたい。
「児童虐待」は別だ。
実際に虐待が行われている場合、そこでは幼い命が重大な危機に晒されている。もしも疑いが生じたら、先ほどのCさんよりももっと早い段階で、躊躇なく通報してほしい。
法律上も、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合の児童相談所等への通報は、全ての国民の「義務」となっている(児童福祉法第25条など)。
「虐待では?」と、思った時点で通報するのがわれわれの義務なのだ。「誤解だったらどうしよう」などと、悩む必要は全くない。
ちなみに、先ほどのCさんの事例があった時代にはまだ存在しなかったが、いまは児童虐待を通報するための全国共通の覚えやすい電話番号がある。
通報は匿名でもよい。もちろん、通報したことなどの秘密は守られる。
(文/賃貸幸せラボラトリー)
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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室