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土地は有利な資産か? 土地白書「土地問題に関する国民の意識調査」に見る2019~2020年にかけての異変(2/3ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/07/02

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異変はコロナ前から前からあった

この原因として、すぐに思い浮かぶものといえば「新型コロナウイルス」の影響だ。「コロナ禍」により生じた国内各地においての土地価格の下落が、大きく影響していると見るのは揺るがぬひとつの正解だろう。

ただ、どうもそれだけではない様子もある。

どういうことかというと、実は、コロナの影響を受けていないはずの前回調査(アンケート実施期間19年11月~12月)の数字からして、すでに過去とは様相が異なっているという現実がある。

前ページ「あなたは、土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産であるとお考えですか?」の表をもう一度みていただきたい。前回調査では、この問いに対する「そう思う」の答えが初めて3割を切り、それまでの過去最低(27.1%)の数値に。さらに、「そうは思わない」が初めて45%を超え、それまでの過去最高(45.3%)の数値だったのだ。

これが前回調査における“異様”な結果だ。つまり、今回分(20年度調査)に先駆けて、すでに「事件」は起きていたということになる。

土地は役立ててこそのもの

そこで、次の表を見ていただきたい。おそらく以上のことと関係が深いだろう。

質問は、「土地を資産として有利と考える理由は何か?」となっている。さきほどの「土地は有利な資産か?」で「そう思う」を回答した人に尋ねた、その結果だ。


出典/国土交通省「令和3年版土地白書」を基に作成

1位は「土地は生活や生産に有用だ(役に立つ)」となっていて、これは、土地に関し、これを継続的に活用しての実益的価値を重視する考え方を示している。いわゆるキャピタルゲイン(売却益収入)を期待する方向性とは異なるものだ。

そこで、興味深いのは、この答えにおける最近の推移となる。

このとおり、ここ2年間で割合が急上昇している。なお、これ以前(95~17年度)においては、20%を超えたことは1度しかない。(14年度・20.9%)

すなわち、ここでもやはり「異変発生の19、20年度」が成立するといってよいだろう。

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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