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〜この国の明日に想いを馳せる不動産屋のエセー〜

不動産「AI価格査定」という宣伝文句の裏側にあるもの(3/3ページ)

南村 忠敬南村 忠敬

2021/06/16

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「AI価格査定」は推定価格?

なんだかんだ難しいことはさて置いても、ニューラルネットワーク(人の脳と同じような伝達回路を使ってパターンを学習認識させる)には、数値化できない価格形成要因こそが重要な不動産価格の推定を依存することができない。

また、回帰分析によってもたらされた範囲の推定だと、それより後に人の手と経験による再度の査定が必要となることから、現段階ではAIを価格査定に応用する理由に説得力を見いだせないという結論に至った。

それはすなわち、現段階でWeb上に溢れている「AI価格査定」という宣伝文句の裏側で動いているシステムがあるとするなら、おそらく限られた物件(例えば○○マンション)を対象とし、回帰分析手法による推定価格範囲に提供事業者独自(これがブラックボックスだ)の調整率を当てはめて得られる推定価格に過ぎないものではないか、と拙者は“推定”する。

〜この国の明日に想いを馳せる不動産屋のエセー〜
なので私はこう言い放った…「メルカリで家は売れない」

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この記事を書いた人

第一住建株式会社 代表取締役社長/宅地建物取引士(公益財団法人不動産流通推進センター認定宅建マイスター)/公益社団法人不動産保証協会理事

大学卒業後、大手不動産会社勤務。営業として年間売上高230億円のトップセールスを記録。1991年第一住建株式会社を設立し代表取締役に就任。1997年から我が国不動産流通システムの根幹を成す指定流通機構(レインズ)のシステム構築や不動産業の高度情報化に関する事業を担当。また、所属協会の国際交流部門の担当として、全米リアルター協会(NAR)や中華民国不動産商業同業公会全国聯合会をはじめ、各国の不動産関連団体との渉外責任者を歴任。国土交通省不動産総合データベース構築検討委員会委員、神戸市空家等対策計画作成協議会委員、神戸市空家活用中古住宅市場活性化プロジェクトメンバー、神戸市すまいまちづくり公社空家空地専門相談員、宅地建物取引士法定講習認定講師、不動産保証協会法定研修会講師の他、民間企業からの不動産情報関連における講演依頼も多数手がけている。2017年兵庫県知事まちづくり功労表彰、2018年国土交通大臣表彰受賞・2020年秋の黄綬褒章受章。

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