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1964-2020東京五輪へと続く道路開発1――幻の地下高速「築地~新富町」ルート(2/3ページ)

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地下へとつながる舗装道路と突然現れる広場

とはいえ、このあたりを都市計画学者や建築家が見れば、地下にトンネルがあることはすぐに分かるはずだ。そして、戦後の都心の交通・都市計画を俯瞰できるという。

そんな川跡を築地本願寺の裏から進み、備前橋(中央区築地7-1)を越えたあたりまでくると、通行はできないが、一車線の舗装された半地下の道路が現れ、新富町方面に通じるトンネルへ入り込む道路を見ることができる。

そこからさらに新富町方向に進むと現れるのが「築地川公園 多目的広場」である。

この広場は人工地盤の道路面から数メートルほど低い窪地になっており、舗装されていない校庭のようなイメージだ。広場にはバスケットボールのリングがあり、「バスケット公園」と呼ばれているという。


街中に広がる「築地側公園 多目的広場」

この広場は築地本願寺を背にすると、左にカーブして入船橋の下から新富町へ方面に。逆に築地本願寺方面に目を転じれば、同じように片側2車線のボックスカルパートというコンクリートの道路枠が貫通しており、築地本願寺裏方面は備前橋のところにあった半地下の道路がここからつながっていることが分かる。


上に架かるのは入船橋


東本願寺方面につながるトンネル

そして、入船橋を越えたところには首都高都心環状線の新富町出口があり、その出口になっているスロープと合流する。ここまでくると、この通路が首都高速のルートで、直角に曲がるのは、築地川から分かれる運河(支川)を道路として活用しようとした水上都市計画の一部だったと分かる。


首都高「新富町出口」。写真の左の舗装路は「築地側公園」へとつながる

東京メトロ・有楽町線の新富町駅を越えると、すこし立派な橋で首都高都心環状線を跨ぐ橋がある。小豆色した中央区役所本庁舎につながるこの橋は「三吉橋」という。

この三吉橋は三島由紀夫の『橋づくし』にも登場する橋で「それは三又の川筋架せられた珍しい三又の橋」と記されている橋だ。

この橋は関東大震災の後の復興計画の一環として昭和4年に架けられた。そして、この三吉橋から周辺を見渡すと、いたるところに首都高の延伸計画の痕跡が見てとれる。


三吉橋のたもとにある幻の首都高につながるとおぼしき進入路


首都高速環状線。老朽化を感じさせる

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この記事を書いた人

経済アナリスト

マクロ経済面から経済政策を批評することに定評がある。不動産・株式などの資産市場、国や自治体の財政のバランスシートの分析などに強みを持つ。著書に『若者を喰い物にし続ける社会』(洋泉社)、『世代間最終戦争』(東洋経済新報社)、『地価「最終」暴落』(光文社)などがある。

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