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「弱者男性」がクローズアップされるその本質的な理由とは何か(1/2ページ)

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イメージ/©︎maru123rf・123RF

経済構造の変化と男性の立ち位置

「弱者男性」という言葉が、ネット上で注目を集めている。

言葉の定義には幅があって、男性のなかにも、収入、容姿や学歴という“スペック”で「弱者」と認定される人がいる点で議論になっているのだ。

これまでも女性から見た結婚相手によい男性像としては「3高(高学歴/高収入/高身長」や「4低(低姿勢=威張らない)/低依存(家事、子育ての分担ができる)/低リスク(リストラされない)/低燃費(お金を使わない)」といったものがあった。しかし、この弱者男性は、女性の権利向上を訴えるフェミニズムに対して「男だって生きづらいのだ」と主張する意味なのだ。

日本経済のバブルが崩壊した1991年以来、日本経済は成長しにくくなり、「失われた○年」と言われ続け、ついに「失われた30年」も超えた。この間、男性的な職場だった工場は経済のグローバル化で海外に移転、少子高齢化が進み、生産労働人口、総人口の減少に影響がさまざまなところで出はじめている。

外国人労働者が増え、女性の社会進出も活発となるなかで、その「しわ寄せ」は、男性の若年層に目立つようになってきている。

そして、「男性不況」という言葉も広まった。これは男性向きの製造業や建設業といった職が増えず、女性向きの医療や介護の仕事が増え、ホワイトカラー(事務職)の仕事も男女平等になってきている。その結果、相対的に男性の勤労者としての地位がますます低下した。88年成立の男女雇用機会均等法が職場や職業の男女平等を求めていただけに、フェミニストらからすると当然の帰結だ。

一人世帯が増える社会構造

土地バブル、ITバブル崩壊、リーマンショックと長期不況で稼げない男性は彼女や結婚ができず、それでも稼ぐ役割を強要されてきた。しかし、ついに男性であることの「生きづらさ」に、国や社会が正面から向き合う必要ができてきたと言えよう。

その主張は「真の被害者は弱者男性でもあり、国家や社会からの制度的支援が何もない」と、これまでは「負け惜しみ」「男らしくない」と言われ口に出すこともできなかった男性の弱音が全面に出てきたのにほかならない。

弱者男性の表面化は、男性の非正規雇用者が増え、格差社会が進んできたこの10年間においてじわじわ増えてきた。言ってみれば、弱者男性の登場は、日本の国力や経済力の斜陽化とセットの話だ。この中心世代は、就職氷河期を経験した40代、30代の男性たちだ。彼らは収入が少なく、女性との縁にもあまり恵まれず、独身であることが多い(高収入であえて独身という人もいるが)。

そして、近年「若い男性が結婚できるかには年収300万円の壁がある」というのが社会学では定説になりかけている。

2020年の生涯未婚率は、男25.7%、女16.4%(21年12月9日に公開された東洋経済オンラインの記事より)と非婚の時代、シングルの時代はどんどん進んでいる。その一因に女性が自分より「上」の男性を選ぼうとする「上方婚願望」もある。この傾向が続けば結婚できない弱者男性も減りそうにない。その結果、日本の家族構成は、高齢化による独居老人と相まって、どんどん一人世帯が増えている。

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この記事を書いた人

経済アナリスト

マクロ経済面から経済政策を批評することに定評がある。不動産・株式などの資産市場、国や自治体の財政のバランスシートの分析などに強みを持つ。著書に『若者を喰い物にし続ける社会』(洋泉社)、『世代間最終戦争』(東洋経済新報社)、『地価「最終」暴落』(光文社)などがある。

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