ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

今日もどこかの街で美食探訪 ねこやま大吉のグルメ狩人

高知県(高知市) 四国遍路で出合った土佐の旨原石『明神丸』――職人が炭火と藁で焼き上げる土佐鰹を堪能(2/3ページ)

ねこやま大吉ねこやま大吉

2021/05/07

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

一本釣り『明神丸』が運ぶ土佐鰹

松明のように炎が舞っている。

その明かりに誘われ傍に寄れば職人が鰹を藁で焼いているではないか。

きっと龍馬も食べたであろう、この鰹を食べない理由はないと暖簾をくぐる。一本釣りは巻き網漁と違い効率もあまりよくない漁法だが、獲れた魚は傷がつかず、魚の鮮度も良く、また魚を獲り尽くさない乱獲を防ぐ漁法でもある。また鰹は、ビタミンB12 ・B6・ B2がたっぷり。タウリン・DHA・EPAも豊富で含有量は魚類の中でトップクラスを誇る、海が育んだ天然のサプリメントでもある。偉人には鰹なのだろうか……。

そんなことを思いながらメニューを見れば、どれも鰹が旨そうに踊っているが、ここは贅沢に「塩たたきと鰹の握り定食」をオーダーする。

鰹づくしである。

作り置きなどせず、注文してから藁で焼くので“間違いない”。たたきの塩は黒潮町の塩職人丹精込めて作る天日塩を使っている。地産にこだわり葱を始め薬味も地元のもの。さあ大海原に出ていく漁師の気持ちになって食べつくす。よく口にする鰹とはモノが違うことに気付く。血なまぐさくないのだ。

鮮度がいいのと血抜きが別物である。鰹本来の味が口の中一杯に広がっていく。薬味の大蒜など添える必要がなく、そのまま食べられる。

この握りは、鰹の臭みがないからできる一品である。鰹の旨味を感じるタイミングと口の中でシャリがほどけるそれが同じなのである。

エンジンで例えるならば、某日産の林義正設計RB直列縦6気筒DOHCエンジンといったところか。全ての機能がタイミングよく仕事をしてパワーを落とすことなく、欲しいところを絞り出すさまが似ているのである。

控えめに醤油につけたのが功を奏した。鰹の甘みとシャリの酢、薬味の葱が実にバランスよい。寿司屋でもなかなかここまでのものは出さないのではないかと感動する。

鰹の塩たたき。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

編集者・ライター

長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/

ページのトップへ

ウチコミ!