賃貸不動産仲介会社があとで「聞いてなかったよ!」と客から叱られる事例(1/3ページ)
朝倉 継道
2021/07/22
イメージ/©︎sunabesyou・123RF
誰にでもあり得るトラブル・アクシデント
賃貸住宅への入居を仲介したあと、不動産仲介会社が、入居者となった客に「こんなの聞いてなかった!」と、叱られることがある。あまり話題に出てこない例で、私が経験したもの、周りで見聞きしたもの、いくつかを挙げてみよう。
これから部屋探しをする人にとっては、誰にでもあり得るトラブル・アクシデントとして、参考になるはずだ。
事例1 ガスの保証金1万円ってなんですか?
ある入居者の入居日翌日、「あのお客様、今日は引っ越し作業の続きで忙しいんだろうな」などと思っていたら、突然電話が。
「ちょっと! こんなの聞いてませんよ! さっきガス会社の人が来たんですが、保証金1万円払えって、なんですかこれ!」
ガスの保証金とは、LPガス会社が、ガス料金の未払いが起きたときのために“押さえて”おく預かり金のことだ。開栓時に要求されることが多い。都市ガス物件からLPガス物件に引っ越した人など、これによくびっくりさせられる。「大丈夫、それは預け金ですから。あとで返ってきますので」などと説明しても、「そういう問題じゃないでしょう!」と、財布の中からいきなり現金を抜き取られた気分になった客の怒りは収まらない。気持ちは本当によく分かるのだが……。
事例2 どうして急に家賃が増えてるんだ!
「通帳を見たら、契約した家賃よりも高い金額が口座から引き落とされています。どういうことですか!」
どういうことなのかは、契約に至るまでに何度か伝えている。渡した書面にも明記されている。それでも、忘れられやすいのがコレだ。家賃債務保証会社が入居者の銀行口座から家賃を引き落とす際に上乗せする手数料だ。数百円のことが多いが、年間にすると×12で結構な額になる。しかも、うっかりこの存在を忘れていると、口座残高不足による滞納事故の原因にもなりやすい。注意が必要だ。
この記事を書いた人
コミュニティみらい研究所 代表
小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。