賃貸不動産仲介会社があとで「聞いてなかったよ!」と客から叱られる事例(2/3ページ)
朝倉 継道
2021/07/22
事例3 入居日前に部屋の掃除をしたいんですけど……えっ! ダメなの!?
部屋探しの際、誰もが不動産会社の窓口で、「予定の入居日をお書きください」などといわれ、書面に記すことになるだろう。そこで、あくまで予定のつもりで「多分この日になるかな」……程度の日付けを記入する人も多いが、ぼんやりしていると、それがあとあと尾を引いてしまう。
案内された部屋を気に入り、申し込み~契約へと進む過程で、その日付けが賃貸住宅入居者用の総合保険……いわゆる家財・火災保険の補償開始日にされてしまうと、その日より以前は補償対象外となるため、物件への入室を断られることが多い。「引っ越しの前に掃除に行きたい」「先に小さな荷物を運び込みたい」と、いった希望が叶わなくなることがあるので、注意が必要だ。
事例4 鍵交換手数料だけでも懐がイタいのに……
鍵交換は本来賃貸住宅オーナーの負担 イメージ/写真AC
昔よりも格段に「健全」になったはずの賃貸契約に、未だまとわりついている悪習。それは鍵交換手数料の請求だ。原状回復トラブルを起こさないための教科書として、業界に広く普及している国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にも、「(鍵交換は)入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当」と明記されているが、なぜかこれをやめない賃貸住宅オーナーや管理会社が多い。そろそろいい加減にしようではないか!
それはそうと、ある入居者曰く、
「今回入居した物件では、部屋の鍵を1本しかもらえなかったので、スペアキーを自費でこしらえましたが、ディンプルキーだとものすごく高いんですね。鍵交換手数料と合わせて軽く2万円超えの出費になりました。ガックリです」
防犯性能が高いことと引き換えに、ディンプルキーにはこんな落とし穴もある。ぜひ心得ておかれたい。
この記事を書いた人
コミュニティみらい研究所 代表
小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。