ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

賃貸不動産仲介会社があとで「聞いてなかったよ!」と客から叱られる事例(3/3ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/07/22

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

事例5 話がまとまってから人に貸そうよ……駐車・駐輪

「不動産屋さん、今回私が入居したマンションの建物脇のスペースだけど、あなた自転車停めていいって言ってたじゃないですか。でも、実際停めようとしたら、1階のお店の人から、ウチが仕事で使ってる場所だからダメだって言われましたよ。どうなってるの?」

敷地内の駐車ルールや駐輪ルールがいい加減な賃貸物件は意外に多い。ちなみに、私が知る例はすべて事業用の貸室と居住用の貸室が混在している物件で起きている。そこでオーナーに、話が違っているようですがと尋ねると、

「実は、その件で1階のテナントとは言った言わないのトラブルになっている。もちろん、私はあくまでマンション脇のスペースは入居者全員の共用部分のつもりなんだけど、このこと、あなたに伝えておけばよかったね」

思わず「えっー!?」と言ってしまいそうになったが、このようなケースも少なくない。はっきりと入居者用の駐車場・駐輪場として区画されていない怪しい「停め場所」がある物件は要注意だ。しっかりと状況を確かめよう。

事例6 契約書をよく読んでいたのは入居者

最後のこの事例、びっくり焦ったのはオーナーのほうだ。

「どうしよう、ウチの物件ペット不可なのに、入居者さんが勝手に部屋で小鳥を飼っている!」

ところがこの件、契約上問題はなかった。賃貸借契約書を見せてもらうと、犬、猫は飼ってはいけないが、「観賞用の小鳥、魚などであって、明らかに近隣に迷惑をかけるおそれのない動物は飼ってもよい」となっている。入居者はそこをしっかりと読んだうえで、小鳥を数羽飼っていた。

実は、オーナー側が用意している賃貸借契約書が、国土交通省の標準契約書をひな型にしたうえで、そのなかのペットに関する規定に手を加えずにいた場合、契約内容は自然に上記のかたちとなる。なので、この件では、オーナーがもしも先走って入居者へ苦情を伝えていた場合、入居者からの不満は、当然、契約を取り持った仲介会社に向けられていただろう。つまり、順番的には話がややこしくならずによかったという事例だ。

ちなみに、この物件は賃貸併用住宅。鳥アレルギーを持つオーナーの自宅と入居者の部屋が同じ屋根の下に寄り添うかたちだった。

この著者のほかの記事
理由は偽装免震ゴムか、それとも?――30階建て・築15年のタワーマンションが解体へ 
子どもを危ない建物に住まわせるな 「築年月」を気にするべき一番重要な理由
賃貸おとり広告はなぜなくならないのか――2つの「構造」が重なるその仕組み

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

ページのトップへ

ウチコミ!