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一括返済のメリット・デメリットは?

住宅ローンの一括返済はおすすめできる? 得するケース、損するケースをプロが検証(3/4ページ)

牧野寿和牧野寿和

2017/09/12

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一括返済すると団体信用生命保険もなくなる

なお、一括返済をして手持ちの現金がなくなってしまった後に、夫もしくは妻が亡くなる、もしくは病気になるなどして、収入が途絶えたときのことを心配する人がいらっしゃいます。

ローン返済中であれば、多くの場合は団体信用生命保険(団信)に加入しているので、保険金が支払われて住宅ローンの残債はゼロになります。

ですが、団信はあくまで住宅ローン返済中のリスクに対応するための保険です。一括返済すると、当然、保険期間は終了します。

したがって、住宅ローン返済の時期を問わず、団信とは別に必要に応じて、万が一のときの遺族の保障や、病気やケガをしたときの収入保障のための保険などに加入しておくべきでしょう。

一括返済でどれくらい利息が軽減できるのか


© miya227 – Fotolia

では、住宅ローンを当初の予定通りの期間で返済した場合と、途中で一括返済をした場合を比較してみましょう。

借り入れの条件は次の通りとします。

・住宅ローン借入額:3000万円

・35年間固定金利

・金利:年1.0%

・毎月の返済額:8万4686円

借入れから15年後に一括返済した場合と、25年後に一括返済した場合では、10年間で利息の支払い額の差は約142万円(507万円−365万円)になります。同様に25年後と35年後では約49万円(556万円−507万円)です。

借入れから25年後くらいになると毎月の返済額のうち、利息よりも元本分が占める割合が多くなります。つまり、返済も後期になると、同じ10年間の差があっても利息の負担額の差は小さくなるということです。

 早期に完済したほうが、住宅ローン控除の恩恵を受けつつ、実質の利息の支払い額が軽減されることがご理解していただけるでしょう。

ですが、やみくもに早く返すことが必ずしも正解ではなく、上で述べたように将来に発生する子どもの教育費の負担や老後資金の準備についても考えた上で判断しなければなりません。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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