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短期は緊急事態宣言の動向次第 中期は米国好調の恩恵でポジティブ(2/3ページ)

望月 純夫望月 純夫

2021/05/07

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これからの主役 「パワー半導体」に強みを持つ銘柄

空前の特需に沸く半導体業、株式市場でもこれに強く意識されるかたちで関連銘柄に波状的に投資マネーが押し寄せている。

車載向けを中心に圧倒的に半導体が不足している状況下に、バイデン大統領は半導体のサプライチェーン強靱化に本腰を入れて取り組む意向を示し、国内生産力を高めることに意欲を示している。ワシントンでの菅首相とバイデン大統領との日米首脳会談でも、半導体を巡る供給網の連帯が議題の一つに挙げられている。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、年前半は半導体需要の停滞を余儀なくされたが、その反動が秋口から一気に噴き出した。

米国や中国、欧州などで自動車販売が想定外の回復をみせ、高速通信規格5Gの商用サービスの本格離陸に伴い、その通信環境に対応したスマートフォン、いわゆる5Gスマホの売れ行きが絶好調となった。また、米中の政治的対立のあおりを受けて、欧米の半導体メーカーは生産委託先を元来の中国メーカーから台湾のファウンドリー(半導体受託生産事業者)TSMCなどに付け替えた。

これは単なる景気対策ではなく、対中安全保障の一環でもある。こうした経済的・政治的背景は株式市場でも投資マネーを強く刺激している。これまでの半導体といえば東京エレクトロン(8035)やレーザーテック(6920)、ディスコ(6146)などであった。ここにパワー半導体が加わることになる。

パワー半導体は、電子機器へ電力を供給、制御する役割を担う半導体(デバイス)で、データーを取り扱うメモリーとは異なり、半導体でも1ワット以上の電力を扱うもので、モーターの駆動や交流と直流の交換などの力仕事を行う。パワー半導体分野はメモリーと事情が異なり、日本は世界でも屈指の存在である。

世界の売上高ランキングの10位内に三菱電機(6503)や富士電機(6504)、東芝(6502)、ルネサス(6723)、ローム(6963)が入っており、サンケン電気(6707)も大手である。脱炭素の流れのなかで、太陽光発電や電気自動車などの新分野で高水準の需要が発現している。特に400兆円ともいわれる自動車市場は、ガソリン車からEVへのシフトは不可逆的であり、EV市場への伸び代は大きいものがある。

三菱電機(6503)

東芝(6502)

ルネサス(6723)

パワー半導体はEVのモーターを駆動させるインバーターはもちろんのこと、充電回路、始動発動機など、極めて広範囲に必須のデバイスである。SiCウェハーで国内トップの昭和電工(4004)、このほかの有望な出遅れ小型株としては、タムラ製作所(6768)、トレックス・セミコンダクター(6616)、東京エレクトロン デバイス(2760)、三社電機製作所(6882)が挙げられる。

東京エレクトロン デバイス(2760)

三社電機製作所(6882)

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この記事を書いた人

コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1971年慶應大学法学部卒、同年山一証券入社。1985年新本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。 1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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