ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

38年ぶりの相続大改正

時系列で見る改正のポイント(2/3ページ)

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

▽遺留分制度の見直し
遺留分とは、亡くなった人の兄弟姉妹以外の相続人に法律上認められた相続できる最低限の財産こと。たとえば、妻と2人の子がいる人が遺言状で「すべての財産を長男に相続させる」としていても、妻は相続財産の4分の1、長男以外の子は法定相続分の2分の1(このケースでは8分の1)が遺留分が認められる。
遺留分の減殺請求ではすぐには現金化できない不動産などは共有名義とすることもあった。そこで今回の改正ではこうした不動産や株式など分割しずらいものについては、原則、金銭の支払いで決着を付けられるようになった。また、すぐに支払えなければ裁判所が支払い期限の猶予を認めることになった。

▽相続の効力に関する見直し
これまで相続における不動産登記は必ずしなければならないものではなく、遺言書などによって相続された財産については、登記等の対抗要件がなくても、その遺言書に書かれた分割率で第三者に対しても対抗することができた。しかし、これではその不動産の所有者が第三者にはわからない。そこで今回の改正ではこれを見直し、原則、不動産の登記を求め、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができなくなった。

▽相続人以外の特別寄与
これまでも亡くなった人の生前に、介護や身の回りの世話をした人に対して、亡くなった際の相続分を増やす「寄与分」というものはあった。しかし、こうした考えはあっても実際に寄与分を認めてもらうのは難しく、ほとんど使われることはなかった。さらに寄与分は親族に限られ、“嫁”がどんなに介護をしても相続とは切り離されていた。

そこでこの不公平を是正するため、今回の改正では被相続人の介護や日常の世話をした相続人ではない「親族」にも「特別寄与」として請求ができるようになった。この「相続人でない親族」とは6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族で、子の配偶者、孫の配偶者、ひ孫の配偶者、甥の配偶者までが対象。請求に関しては介護日誌や経費のレシートなどが必要で、相続が発生した段階で各相続人にして支払請求を行うことができる。金額などの協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求する。請求できるのは相続発生、相続人を知ったときから6か月、または相続開始から1年以内。ただし、相続人にはならないので、相続分割協議には参加できない。

次ページ ▶︎ | 2020年4月1日 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。

ページのトップへ

ウチコミ!