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改正民法(相続法)の施行(2/2ページ)

野田洋介野田洋介

2019/06/26

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遺産分割前における預貯金の払戻

最高裁大法廷決定の判例により、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などがあって
も、遺産分割が終了するまでの間は、被相続人の預金の払い戻しができませんでした。

改正法では、共同相続人の各種の資金需要に迅速に対応するため、遺産の分割前において も、預貯金債権の一定割合(上限あり)については、改訂裁判所の判断を経なくても、金融機関の窓口にて預金の払い戻しが認められることとなりました。

長男の妻の貢献に報いる制度の創設
旧民法では、相続人の配偶者が無償で被相続人の療養看護・介護に尽くしても、相続人でないことから相続財産を取得することはできませんでした。

一方では、被相続人の長女や長男、次男などが療養看護・介護を全く行っていなくても、相続人として相続財産を取得できるため、長男の妻との不公平さが指摘されていました。

改正法では、このような問題を法的に解決する手段として、相続人以外の親族の貢献や寄与に応じた金銭の請求を認める制度を創設し、被相続人の長女や次男に対して、実際に貢献した相続人以外の親族から金銭の請求ができるようになりました。

遺留分侵害請求権(金銭請求)の新設

遺留分とは、遺言の内容にかかわらず配偶者や直系卑属(子、孫、ひ孫など)が取得できる最低限の相続分のことをいいます。

例えば、相続人のうちの一人に遺産のすべてを相続させるという遺言があっても、他の相続人は遺留分を請求することができます。

旧民法では、遺留分減殺請求権を行使すれば、各遺贈等の対象財産に遺留分割合に応じた権利が当然に生じることとされ、対象となる財産が不動産の場合は、共有状態となり大変な制約を受けていました。
例えば経営者である被相続人がその後継者である長男に会社の土地建物1億円、次男に現金2千万円を相続させる旨の遺言を残していても、遺言内容に不満のある次男が長男に対し、遺留分減殺請求権を行使すれば、当該不動産に対して一方的に「遺留分登記」を行うことができ、事業承継に支障をきたすこととなります。この場合、長男が価格賠償(相当額の金銭支払い)によって解決することが通例でした。

改正法では、遺留分権利者の請求を「遺留分侵害額請求権」という金銭請求権に変更しました。

 

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この記事を書いた人

税理士

昭和58年8月石川県金沢市生まれ。 平成18年3月法政大学工学部を卒業しその後会計事務所に就職。 平成24年12月に税理士試験を合格し平成25年4月税理士登録。 平成29年7月に株式会社アグラデッソ会計事務所、野田洋介税理士事務所開業。 開業後も法人・個人事業者の会計、税務顧問によりタックスプランニングや資金繰りコンサルティングを行う。その他、相続対策・事業承継・組織再編・IPO支援等中小企業や個人のコンサルティングを行っている。

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