評価額はこうして決められる(3/3ページ)
平野 敦之
2019/04/17
家財を評価額の算出基準
建物に対して家財はどのように評価額を計算するのかというと、実務的には年齢や家族の人数(大人・子供の数)などによる一覧表より評価額を決めていく方法が一般的です。
しかし同じ年齢、家族構成であっても家財をたくさん持っている人とそうでない人もいます。この場合もある程度調整が可能ですから、実態に応じて適正な金額で評価額を決めるようにしてください。
時価による評価額で火災保険に加入している人の注意点
現在の住宅用の火災保険は新価(再調達価額)が基準になっていることはすでにお話したとおりです。
しかし2015年9月までは最長36年まで火災保険の契約をすることが可能でした(現在は最長10年に改定されています)。損害保険会社にもよりますが、古いタイプの住宅火災保険や住宅総合保険などに加入している場合、いまも契約があるなら評価額はまず時価基準です。
時価基準での評価額で注意しなければならないことは次のポイントです。
・損害を受けた建物と同等のものを再購入する保険金が必ず支払われるわけではない。
・著しく低い評価額で契約していると損害を受けたとき減額されることがある。
同等のものが再築できないというのはすでにお話したとおりですが、新築時の金額が使用による消耗分が減っているので当然そのようになってしまいます。
少しわかりにくいのが2番目の項目です。具体的に数字を入れてみていきましょう。
例)適正な評価額 時価2,000万円 契約金額1,000万円 損害額1,000万円
実際の評価額は時価2,000万円にも関わらず、もっと安くしたいので1,000万円だけ住宅総合保険に加入したとします。つまり正しい評価額に対して50%だけ火災保険をつけた状態で同額である1,000万円の損害があった場合です。
この場合、1,000万円契約しているのだから1,000万円の損害で問題と考える人が多いでしょう。しかし一定以上の基準以下に金額を下げていると減額して支払う規定になっているのです。
現在の火災保険は新価で評価しますので、こうした問題は通常生じることはありませんが、古いタイプの火災保険では契約金額によっては起こりえる問題です。
契約期間が長いと火災保険を見直す機会が少ないため、こうした細かいところまで目が届かないケースは珍しくありません。古い火災保険だから駄目なわけではありませんが、補償内容も含めていまの火災保険とは色々違いがあります。最新の火災保険のほうがこの点はシンプルですが、現在の契約がどのような契約になっているか定期的にチェックするようにしてください。
この記事を書いた人
平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp