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僕と大家さんの関係性は、「今、この時代だからこそ」

賃貸契約の「甲」と「乙」を超えた新しい関係(3/4ページ)

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賃貸契約の甲乙を超えた関係性

──お互いに電話番号は知っているんですよね?

はい。毎日というわけではないですが、ちょくちょく連絡しますね。自然な感じで。しばらく電話に出られなかったりすると、手紙が入っていたりすることもあります。逆に僕がいないときはちゃんと伝えている。心配かけないように。わざわざ言う必要はないんだけど、数日いませんとか伝えていますね。

やはり一つの屋根の下に住んでいると心配になりますよね。ご高齢ですので、家に帰る途中で救急車の音が鳴ると胸騒ぎがしたり、いつもは起きている時間なのに雨戸が閉まっていたりすると、「何かあったのかな」って。
先輩の板尾創路さんから、「大家さんとの賃貸契約の甲と乙の関係を超えとるな~」と言われたこともありました。大家さんに対してそこまで責任を負う必要はもちろんないですけれども、そう言われたらたしかに超えているところがあるなあと。でも、大家さんのために何かできる、例えば荷物を運んだりとか、エアコンをチェックしたりとか、草むしりをしたりとか、頼ってもらって感謝されたりすると、僕自身も嬉しいんですよね。

──不思議な関係ですよね。大家さんと入居者の関係を超えた感情が芽生えたりするんでしょうか?親族だったり、友達みたいな感覚というか・・・。

なんて言ったらいいんでしょうか。うまく言語化できないんですよね。既存の関係性のどれにも当てはまらないということをすごく感じていて、倉科先生も「それが素晴らしい」とおっしゃっていただきました。
こういった関係性というのは、僕以外にもあり得ると思いますし、これからの時代、きっと独居老人、独身男性も増えてくると思います。このような関係性というのがいったいなんなんだろうって自分も考えているのですが、親族とか友達とか簡単な言葉でいい表すことができないんですよね。だからこそ128Pもの漫画にしたんだと思います。インタビューで簡単に「親族のような関係」と答えることに、僕としては違和感があります。「大家さんと入居者の関係以上、親族未満」というのは、キャッチーで分かりやすいとは思いますが、そうではない。親族になろうとしているわけでもないし、友達でもないんですよね。

──この微妙なニュアンスを漫画に封じ込めているということですね。

はい。

──なぜ、この「大家さんと僕」という一見地味なテーマの漫画が、世の中に受け入れられてベストセラーになったと思いますか?

なんででしょうね。もともと自費出版という形で倉科先生が出してくれるという話で、パソコンを使って文章も僕が用意して、そのまま印刷できるという状態だったんですよね。それを新潮社さんが連載してくれるという話になり、それだけで嬉しかった。まあ、ヒットしたというか、いっぱい読んでいただいているのは、たくさん宣伝してもらっているからだと思います(笑)。新潮社さんにも応援してもらいましたし、あと、僕が吉本興業だったというのが大きかったと思います。みんなで応援してくれる会社なんです。

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