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週末は田舎暮らし! を始めよう(24)

田舎の家を「未来の空き家」候補にさせないために、いまできることを考えた(2/2ページ)

馬場未織馬場未織

2016/09/09

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自分の家を客観視する機会をもつ意味

週末わたしたちの暮らす南房総の家は、いまのところ住宅として利用するにとどまっています。Airbnb(*)としての利用を考えたこともありますが、家族がいつでも来たいときに来られて、東京の家と同じように無防備に安心して暮らせる拠点であることに価値を感じている現状では、無理はやめよう、と思った次第。

ただ、先日の経験から、知人や友人に利用してもらう、ということはできそうだと確信しました。そうすれば、少なくともこの家が「空き家状態」になる日数は減ります。また、使ってもらう相手に、この家やこの地域をより深く知ってもらうことにもつながります。

わが家に1泊した友人は、わたしがすすめたように、朝デッキでコーヒーを飲み、外を眺め、里山に流れる音に耳を傾けていたそうです。生きものの音、強風に煽られて竹のガサガサいう音、先のほうにある県道の音。それは必ずしも素晴らしいものだけではなかったでしょうが、ことばでは伝えきれない場のリアルを体感したはずです。

そのフィードバックを受けたとき、ただの“自分の家”だったわが家が、自分の手を離れたときにどんな価値を発揮するのか、あるいはどんな住みにくさをはらんでいるのか、考えることになりました。

「自分の息子が継いでくれるかもしれない」という、妄信に近い期待によって放置されている田舎の多くの空き家は、家主の手を離れる想像を持たれずにそうなっていったのでしょう。それが必ずしもハッピーな結果を招かないことを考えると、“自分と、自分の家を切り離す”というシミュレーションを重ねることには、大きな意味があるはずです。

空き家をどうするか、という問題に心を砕くのと同様、未来に空き家をつくらないために何ができるのか、住み手が自身の持ち家を相対視して考えていく必要があると感じています。

*Airbnb(エアービーアンドビー):サンフランシスコ発信の、家を単発で借したい大家と、それを借りたい人をつなぐマッチングサービス。世界中で利用されており、主に旅行者に使われています。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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