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愛着のある土地に対して、自分ができることから始めてみる

二地域居住もそのひとつ。個人にできる地方創生とは?(2/2ページ)

馬場未織馬場未織

2016/08/26

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一人ひとりが試みる形の「地方創生」

もし、いま、実家とは違うところに住んでいる方がいたら、ぜひ、実家のある地域についていま一度思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

いや、「実家に戻れ」「墓参りをしろ」ということではありません。

たとえば、都市に出てきて働き、自分や家族の生活を支え、仲間をたくさんつくり、すっかり実家とは縁が切れたと思っていても、そこには、たくさんの思い出やつながりがあるはずです。

「懐かしいなあ! 」
「しかし昔と違って、ずいぶん寂しくなったなあ」
「まったく、さびれたもんだ」

そんな風に感じるとしたら、ほんのわずかでも、その地域でできることがないか、と考えてみてはどうでしょうか。東京在住者の8割は、地方出身者だといいます。その8割の人たちが、実家のある地域の豊かさに向き合ってみたり、実家と都市との関係について真剣に考えてみたり、実際に自分がそのつなぎ役を買って出てみたりしたら、「ずいぶん寂しくなったなあ」と他人事のように思っていたその場所に、再びリアリティのある愛着を持つことになるのではないでしょうか。自分たちの暮らしも、ひとところで完結せず、ぐんと広がりのあるものに変わっていくかもしれません。

同窓会の席などで、「最近、全然帰ってなくて」という通り一遍の話だけではなく、ちょっくら一緒に何かしないか? とけしかけてみるなど、きっかけはいくらでもつくれる気がします。

少なくとも、わたしたちのように本当のヨソモノよりは! 笑。

新しい関係をつくることばかりではなく、これまでにすでにつくっているかけがえのない縁を大事にするなかに、大きな可能性が隠されているように感じます。

一人ひとりが生まれた土地を振り返り、できることをする。

それこそが何よりも素敵なご先祖様への恩返しでしょうし、大きな税金を投入せずともじわじわとローカルを盛り上げていく地方創生なのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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