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会場はヴァイダフニャド城が入り口の人気スポット

ハンガリー全土からロゼとスパークリングが集まるワインフェスティバル(2/3ページ)

パップ英子パップ英子

2016/06/05

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ハンガリーワインの名産地、エゲル地方の爽やかな白ワイン


Tarjányi IGAZGYÖNGY2015 (c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

実は元々、都内の食品会社で仏、伊、豪州のワインインポーター業務に従事し、資格も取得してワイン道を邁進していた若かりし頃の筆者。当時の職務と試験勉強で培った知識は、現在はワインの商品コピーやワインコラムなどで生かせていますが、ワインの世界は本当に奥が深くて、永遠に学ぶことだらけです。

とはいえ、ワインはあくまでも“飲み物”ですから、いかに美味しくいただくかがすべてではないかと思います。

そんなワイン好きな筆者はこのイベントに2日間足を運びましたが、お酒が弱くなったのか、試飲できたのは10種類ほどでした。10本のワインの中から選んだいちばんのお気に入りは、エゲル地方のお手頃価格な白ワイン。ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ビアンカ、トラミネールといった白ワインの葡萄品種を4種ブレンドしてつくられた微発砲酒、白のスパークリングワインでした。

このワインの生産者は、エゲル地方にある「タールヤーニ」(Tarjányi)というワイナリー。“IGAZGYÖNGY”の名前には、真珠=パールのようにキラキラと輝くワインという意味合いが込められているのだとか。文字通り、光にかざすとワインの小さな気泡がパールのようにキラキラと輝いていました。

このワイン、最初に果実や花の香りを感じると、口に含めば小さな気泡が心地よくマイルドに広がり、さらには、爽やかな味わいの余韻がじわじわと続きました。

このワイナリーがあるエゲル(Eger)はヘヴェシュ県の県都で、白ではなく赤ワインの生産地として大変有名な場所。ですが、今回、気に入ったのは白のスパークリングワイン。初夏にぴったりの爽やかな味わいが楽しめましたよ。

ところで皆様は、「アロマ」と「ブーケ」という言葉をご存知でしょうか? ワインをテイスティングする時、ワインの色合い、香り、味わいをチェックしますが、これらの用語は香りを確認するときに使用する言葉なのです。

“アロマ”には第一、第二とあり、第一アロマはブドウ自体から出る香りやブドウ成分が発酵中に変化した香りを、第二アロマは発酵中に酵母や乳酸菌が生成した香りを意味します。その後、ワイン熟成中に生まれる香りを「ブーケ」と呼ぶのですが、なんだかさっぱり分からないという方もいらっしゃるでしょう。

よくワイン愛好家が試飲前にグラスを回すシーンを目にするかと思います。それはスワリングといって、そのグラスを動かす行為の前に感じる香りをアロマ、回した後に感じる香りをブーケと覚えるとわかりやすいですよ。

ワイングラスの脚は長いほうがいいの?


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

“Rosalia”はお昼前から午後10時までと大変長いイベントなので、夕方以降から訪れる人々がとても多かったです。夜、ライトアップされた会場は、とても雰囲気があり、お酒好きにはかなり心地良い空間でした。

これはトカイ地方(*2)のワインを試飲した時に撮影したワイングラス。“Rosalia”という文字がペイントされたイベント専用グラスは、会場でテイスティングした後、もちろん持ち帰りOKです。そのため、なかには昨年使用したワインを今年も持ち込もうとする人が毎年います。

しかし、このワイングラス、タイトルのペイントの色が毎年違う色で、昨年のグラスでは試飲できないんです。そのため毎年、ブースで試飲を拒否されるお客さんの姿はよくある光景で、このイベントの小ネタにもなっています。

ワイングラスに話を戻しましょう。皆様はご自宅にあるワイングラスの形状、よくご覧になったことがありますか。

ワイングラスの持ち手は、ワイン業界では脚と呼ばれています。このグラスの脚、その長さなのですが、長きにわたりワインスクールや文献などでは、グラスの脚が長いほうがよいワイングラスであると説明されていて、筆者もずっとそのように認識していました。

なぜ、グラスの脚が長いほがよいワイングラスだとされていたのでしょうか? その理由は持ち手(脚)が短いと、体温がワインに伝わって温度が上がってしまうことや、長い方がスワリング(グラスを回して香りを楽しむこと)しやすいといった理由からです。

しかし近年になって、ボール(ワインの入るところ)の部分を持っても、何の温度変化の無いことが「証明」されたそうで、ワイングラスのトップブランド、リーデル社さんでも脚が長いワイングラスを推奨するような表記はありません。

ただし、いまだに脚が長いほうがいいと信じていらっしゃるワイン業界の方が多いのも事実なので、上記の意見を述べても断固違うと主張される方もいらっしゃるかもしれません。筆者の個人的な感想としては、脚が短いワインだと、ワイン本来の香りや味わいが脚の長いワインよりも感じられないことは確かに多く、長いほうが美味しい状態でいただけるような気がします。

ワイングラスの知識をもう1点、お伝えしますね。実はこのワインを注ぐ量、グラスに注ぎすぎないことがポイントなんです。そうするとグラスのなかに広い空間が生まれ、ワインと空気を十分に触れ合うので、ワイン本来の“アロマ”(香り)を感じることができるためです。赤ワインなら約120〜150cc、白ワインなら約90ccほどグラスに注ぐのがベストですよ。

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この記事を書いた人

“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)

ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/

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