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週末は田舎暮らし! を始めよう(15)

わたし、カエルさわれますけど、何か?(2/2ページ)

馬場未織馬場未織

2016/04/29

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「みんなちがって、みんないい」

虫や爬虫類、両生類などへの興味や愛着に変化があることは、自然なことかもしれません。

でも、「みんなと違うから」「違うと嫌われるかもしれない」と個性の表出を控えるのは、どうだろう、と思うのが本音です。

学校では、「みんなちがって みんないい」と金子みすずの詩を暗唱し、仲間はずれなどがほとんど見られない恵まれた環境で育っている娘ですら、反射的に不安に思うことがあるように、突出することは恐怖だという風潮があるのは事実です。

子どもたちだけじゃない。

大人も、協調という建前のもとで、さまざまな個性や考え方を隠したり、逆に突出しているものを揶揄することがあります。ひとつひとつは小さなことかもしれませんが、そうして安易に全体性を重んじる風潮は、社会を窮屈な方向へと運んでいきます。

思っていることの言えない世界。

みんなと違うと指をさされる世界。

そんなものは誰も目指していないはずなのに、いつの間にか、そうなっていると思うことは、ありませんか。

ちなみに、サンショウウオの卵を手に乗せたことを気に病んでべそべそ泣いていた娘ですが。

さんざん取り乱した後、兄にこう諭されました。

「多分その友だちも、サンショウウオが好きなヒトが嫌い、なんてほんとは言わないんじゃないか? みんなが“もし人と違うことでいじめられたらどうしよう”って思っちゃうことで、何かをやめたり隠したりするようなことになったら、つまんなくね?
人と違う意見の言えない社会はね、実は、同じ人同士でかたまって違う人を攻める、という、戦争にむかう社会なんだと思うよ」。

その言葉は、なぜか心に届いたみたい。

結果的には番組内では本人の姿はたいして使われていなかったし(笑)、もちろん友だちから何か言われることもなく、何事もなかったかのように南房総で生きものを追いかける週末が続いています。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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