スカンジナビア・デザインの巨匠「エリック・グンナール・アスプルンド」(2/2ページ)
パップ英子
2016/04/10
アスプルンドが手がけた名作チェア、「ヨーテボリ」
出所:ヨーテボリ(Goteborg)【東京インテリアショップガイド】家具・照明・雑貨(http://www.03interior.com/furniture_full_eid00075.html)
ここまで、アスプルンドが設計した素晴らしい建築物を見てきましたが、この先は、彼がデザインした椅子について、その美しいデザインで、後進に多大な影響を与えた名作チェアをご紹介します。
記事冒頭の写真に映る白い座面の椅子は、「ヨーテボリ」という名前の椅子です。このチェアもまた、アスプルンドが自身で設計した「イェーテボリ裁判所の増築」の際に、その施設に合うものをと考え、デザインしたものでした。
現在、あのカッシーナから「ヨーテボリ,1」としてリリースされていますが、アスプルンドが最初に手がけたオリジナルは、1937年にデザインされたものです。
写真をご覧いただくと、背もたれの曲線が自然で、ゆるやかにカーブのついた脚のデザインがとても上品で美しいですよね。いまでは見慣れた形状かもしれませんが、当時としてはとても新しく、モダンな印象のデザインだったそうです。
座面はほどよい固さで、小ぶりなサイズでありながらもその背もたれの曲線的な設計からか、ゆったりとした座り心地に包まれる、機能的にも素晴らしい椅子です。
彼が手がけた“世界遺産”や家具に宿った、その洗練されたモダンな世界は、今日の家具デザインや製作工程にとても大きな影響を与えています。
北欧スウェーデンを旅する時は、“森の墓地”やストックホルム市立図書館など、アスプルンドが私達に残してくれた美しい場所は、インテリア・ファンであれば、ぜひ訪れてみたいものですね。
今回はインテリアよりもスウェーデンの建築にフィーチャーした内容でしたが、いかがでしたか?
このインテリア連載で最初に取り上げた“アルネ・ヤコブセン”にも、とても大きな影響を与えた北欧建築の巨匠、エリック・グンナール・アスプルンド。前回のカール・マルムステンと同様に、20世紀を代表する名作を生み出した、アスプルンドの名前もぜひ、覚えていてくださいね。
この記事を書いた人
“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)
ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/