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時代はマルチハビテーション 新型コロナは複数拠点生活の未来を引き寄せる?(2/2ページ)

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「職場が家にやってくる」 職住近接の概念が変わる

「コロナ禍」は、まさに「禍」だ。人の死、解雇、会社の倒産など、さまざまな悲劇がきょうも起きている。

しかしながら、一方で私たちに多くのことを気付かせてくれてもいる。

特に「住」の分野では、会社員などが出社をせずに自宅などでのテレワークを多くの人たちが体験することになった。そのことによって、顕在化、潜在化を問わず、ある気付きがおそらく生まれている。

それは「職住近接」の実現だ。

職住近接、すなわち、「住む場所が職場に近いこと」「そのためには駅に近いこと。都心に近いこと」――これは近年、住宅用不動産の世界をまさに覆っていた価値基準であった。

ところが、ここにテレワーク・在宅勤務という係数を絡めると、何やら話が妙なことになってくる。必死になって自分の家を職場に近づけなくとも、テレワークでは、職場の方がこちらに近づいてくるのだ。近づくどころか、家の中に上がり込んでくる。

つまりは、結果的に職住が近接するのだ。

妙な成り行きではあるが、これも間違いなく職住近接の実現である。すなわち、賃貸・売買含め、近年の不動産市場を建て付けていた重要な視点だった職住近接の意味や価値……それをある程度破壊した側面が、今回の「コロナ」には存在する。

もっとも、それでもさまざまな理由から、都市への人とモノの集積は今後も進んでいくだろう。それに対抗するため、あるいはそうした波を乗りこなすため、何割かの人々は、「物理的な職住近接」「バーチャルな職住近接」の両方を使い分け、対応することになるはずだ。

また、それはとりもなおさず、人口減少の中での不動産市場において、複数拠点生活、すなわちマルチハビテーションが、価値と利益を創出する面において大いに存在意義を広げることにもつながっていきそうだ。

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