屋根重ね葺きリフォーム（カバー工法）とは？

■屋根に屋根を重ねる工法

 

屋根をリフォームする方法には、屋根葺き替えリフォームの他に、屋根重ね葺きリフォームがあります。これはカバー工法とも呼ばれます。

 

屋根葺き替えリフォームの場合は、古い屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材で葺き替えます。これに対し、屋根重ね葺きリフォームの場合は、元の屋根はそのまま残し、上から新しい屋根を被せて覆ってしまいます。屋根が二重になるから「重ね葺き」。カバー工法と呼ばれる所以です。

 

一般的な屋根重ね葺きリフォームの場合は、まず既存の屋根（スレート屋根など）にルーフィング（防水シート）を敷きます。次にルーフィングをガルバリウム鋼板などでカバーします。最後に棟板金など、水切り金具を設置したら完了となります。

 

■重ね葺きのメリット・デメリット

 

屋根重ね葺きリフォームには屋根葺き替えリフォームにはないメリットがあります。まず、屋根材の解体工事がほとんど不要であること。雪止めや棟板金など、一部の部品以外は解体しなくて済みます。解体工事が不要ということは、廃材も出ないということですから、廃材処理費もかかりません。

 

解体作業をしない分、工期も短いので、費用もそれだけ安く済みます。解体工事に伴う破片やホコリが出ないので、普段の生活にほぼ影響しないというメリットもあります。

 

デメリットとしては、瓦屋根に屋根重ね葺きリフォームは向いていません。また、既存の屋根の下地が傷んでいると補修が必要になることがあります。さらに、屋根が二重になるので、重量が増加してしまうというデメリットもあります。建物の上部が重くなるのは耐震構造として望ましくないので、できるだけ軽い屋根材を用いることが必要になるでしょう。

 

■重ね葺きの危険性

 

屋根重ね葺きリフォームは費用も安く、廃材等が出ないというメリットもありますから、この記事は重ね葺きを否定するものではありません。しかし、屋根によっては重ね葺きは思わぬ害をもたらす可能性があるので、あらかじめ知っておきましょう。

 

古い屋根がスレート屋根の場合は、先に述べたデメリット以外にも3つの問題があります。

 

まず、意識していないかもしれませんが、古いスレートはアスベストを含んでいる場合があります。つまり、重ね葺きの場合はアスベストを含んだ屋根が頭の上に残ることになるわけです。そして、アスベストの除去処理には高額な費用がかかります。将来、結局はアスベストを除去しなければならないのであれば、最初から屋根葺き替えリフォームを選択した方が良いかもしれません。

 

さらに、スレートには必ず雨水が染み込んでいます。新しい屋根材でカバーしてしまうと、この水分が残ることになり、屋根の下地を腐食してしまう可能性が残ります。屋根がきれいになっても機能が伴わない、ということになりかねません。

 

しかし、瓦屋根やスレート屋根でなければ、屋根重ね葺きリフォームも選択肢に入れて良いでしょう。求める効果と費用を考えて、最適なリフォームを目指してください。

 

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