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まちと住まいの空間 21回 東京に建設される超高層ビルの足跡を追って(4/4ページ)

岡本哲志岡本哲志

2020/03/03

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公共施設も一体となった開発(東京ミッドタウン)


写真8、解体が進む我善坊谷の組屋敷跡と戦前に建てられた郵政省の建物(2019年撮影)

いまひとつは東京ミッドタウン(港区赤坂9-7)である。

こちらはオフィス・ホテル棟のミッドタウン・タワー(248m、2018年9月時点で2番目の高さ)の超高層ビルを中心に、公共の公園を取り込むかたちで再開発がなされた。

江戸時代、この地にあった萩藩毛利家の屋敷には「清水園」と呼ばれ、斜面地をうまく利用した名庭園があった。明治期以降は、陸軍の第一、第三連隊の駐屯地となり、終戦後は米軍将校の宿舎として利用されてきた。返還後は陸上自衛隊の駐屯地とともに防衛庁の本庁舎が置かれた。かつての庭園の一部は昭和38(1963)年に港区立檜町公園となり、公共の場として残り続けた。その後、東京ミッドタウンの再開発が始動する。かつての庭園跡も含めた毛利家の屋敷跡が一体的に再整備され、「清水園」も再現されている。

 そして、2022年度の完成を目指す開発して、武家地で構成されていた赤坂・麻布台地のエリアが挙げられる。窪地(我善坊谷)の下級武家地跡も取り込む、虎ノ門・麻布台地区再開発A街区と呼ばれる、大規模な再開発が現在進行している。郵政省の建物(その後、麻布郵便局)があった場所には323mを超える超高層ビルが建つ(写真8)。この超高層ビルが完成すれば、東京一ノッポビルの10代目となる。

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この記事を書いた人

岡本哲志都市建築研究所 主宰

岡本哲志都市建築研究所 主宰。都市形成史家。1952年東京都生まれ。博士(工学)。2011年都市住宅学会賞著作賞受賞。法政大学教授、九段観光ビジネス専門学校校長を経て現職。日本各地の土地と水辺空間の調査研究を長年行ってきた。なかでも銀座、丸の内、日本橋など東京の都市形成史の調査研究を行っている。また、NHK『ブラタモリ』に出演、案内人を8回務めた。近著に『銀座を歩く 四百年の歴史体験』(講談社文庫/2017年)、『川と掘割“20の跡”を辿る江戸東京歴史散歩』(PHP新書/2017年)、『江戸→TOKYOなりたちの教科書1、2、3、4』(淡交社/2017年・2018年・2019年)、『地形から読みとく都市デザイン』(学芸出版社/2019年)がある。

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