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第20回 昭和、平成、そして令和へ――超高層ビルの時代と東京(3/4ページ)

岡本哲志岡本哲志

2020/02/04

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写真1、虎ノ門ヒルズ  写真2、東京都庁舎本館

2018年9月時点では、2014年に竣工した虎ノ門ヒルズが実質的な高さNo.1の超高層ビルとなる(写真1)。公表された高さは247mだが、建物最高部が256mの高さである。霞が関ビルから数えて、9代目の最高高さの新記録ホルダーを獲得した。この時点の建物最高高さのベスト10を見ると、N0.1のノッポビルの座に輝いたことがある初代から4代目まではベスト10にも入っていない。

1978年にサンシャイン60に抜かれるまで、No.1の地位を維持した5代目の新記録ホルダーを得た新宿三井ビルディングがベスト10にかろうじて入る。6代目の最高高さの新記録ホルダーのサンシャイン60(240m 、1978年)はベスト5。23年間超高層ビルの最高高さの新記録ホルダーを維持し続けた。そのサンシャイン60を抜いた7代目の東京都庁第一本庁舎(243m 、1991年)がベスト3(写真2)。この建物は1991年から17年間最高高さN0.1を維持した。この40年間で2棟がタイトルフォルダーに輝いたに過ぎない。

だが、超高層ビルの建設が下火になったわけではない。それは、十数m程度の最高高さを競う価値が薄れ、土地条件や経済性を加味し、実質的な面を重視した超高層ビルの建設にシフトしたといえるからだ。2018年9月時点でN0.1、N0.2の東京ミッドタウンのミッドタウン・タワー(248m 、2007年)と虎ノ門ヒルズは、2014年に東京都庁第一本庁舎を抜いたとはいえ、せいぜい十数メートルの違いに過ぎない。

昭和43(1968)年に竣工した三井霞が関ビルを第一号として、現代東京に建てられ続けてきた超高層ビルだが、半世紀の間これらのビルがどのような場所に建てられてきたのか。100mを超える超高層ビルを建てるには、大名屋敷の敷地規模に相当する1万平方メートル以上の敷地が必要となる。

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この記事を書いた人

岡本哲志都市建築研究所 主宰

岡本哲志都市建築研究所 主宰。都市形成史家。1952年東京都生まれ。博士(工学)。2011年都市住宅学会賞著作賞受賞。法政大学教授、九段観光ビジネス専門学校校長を経て現職。日本各地の土地と水辺空間の調査研究を長年行ってきた。なかでも銀座、丸の内、日本橋など東京の都市形成史の調査研究を行っている。また、NHK『ブラタモリ』に出演、案内人を8回務めた。近著に『銀座を歩く 四百年の歴史体験』(講談社文庫/2017年)、『川と掘割“20の跡”を辿る江戸東京歴史散歩』(PHP新書/2017年)、『江戸→TOKYOなりたちの教科書1、2、3、4』(淡交社/2017年・2018年・2019年)、『地形から読みとく都市デザイン』(学芸出版社/2019年)がある。

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