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奥深き塗装職人の世界

~塗装技能オリンピックに潜入~(2/3ページ)

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真に腕のいい職人を見分けられる「調色」


プロでも特定の色を作り上げるのは難しい…

次に「調色」だ。
「調色」とは、赤・青・白・黄・黒の5色の塗料を使って、指定された色を作るという競技。
縦20cm×横10cm程度の板の上半分に課題の色が塗られており、それと同色を作って下半分に塗るというものだ。最終的に上下の色の境が分からなければ分からないほど、優れた「調色」ということになる。

課題となっていた色は、薄緑っぽい色とピンクっぽい色。いずれも「何色」と言い難い微妙な色だ。5色の組み合わせや量によって、当然、色は激しく変わってくるため、混色の知識はもちろん、微妙な色合いを作り出すための経験もかなり必要となってくるようだ。

さらに、塗った直後と塗料が乾いた後では色にも変化があるらしく、そのあたりも計算に入れておかなければならない。

出来上がりを見ると、上下の見分けがつかない作品の数が多いとは言い難い。それほどこの技術が難しい理由は、現在では塗料の種類が増え、現場で「調色」することは少なくなったことが理由のひとつに挙げられる。しかし、塗装技能士の資格を取得するには必須の作業で、「調色」の出来は職人の腕の良し悪しにつながるともいえるだろう。

パイプが丸太に!? 豊かな発想が塗装に生きる


塩ビパイプが盆栽に!?
そして、一級塗装技能士も参加する「塩ビパイプのアレンジ塗装」。
直径約20cm×高さ60cm程度の塩ビパイプを自由にアレンジして塗装するという競技だ。
塩ビパイプとは、排水管や下水道管などに使われるグレーの筒状の資材で、誰もが一度は目にしたことがあるはずだ。

その塩ビパイプに、「調色」でも使用した5色の塗料のほか、刷毛、スポンジ、タオル、ビニールといった程度の道具を使って、自由に塗装・アレンジしていく。

完成品は写真の通りで、古びた消火栓やロールケーキ、盆栽をのせた竹筒など、ただのパイプだったとは思えない作品が多く出来上がった。
色はもちろん、質感もまるで本物のようだ。石っぽい塗装を施した作品はずしっと重そうにも見える。

実は、この技術がよく使われているのが、遊園地や水族館、動物園といったテーマパーク。作りものの丸太や岩、コンクリートなどは、すべて塗装職人の手作りだという。

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