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【京都で愉しむセカンドライフ】会席料理、懐石料理、精進料理、おばんざい……四季折々の京料理を味わう(2/2ページ)

奥村 彰太郎奥村 彰太郎

2020/09/02

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人気の「おばんざい」

中でも手軽に食べられる「おばんざい」は人気がある。「おばんざい」はお晩菜やお飯菜とも書き、惣菜のことだが、この名称が全国に広まったのは、1960年代に朝日新聞が食べ物を通じた京の歳時記を「おばんざい」というコラムで連載したことによるようだ。

京都には、おばんざい屋が数多くある。

カウンターに、ポテトサラダ、金平ごぼう、小アジの南蛮漬、鰊と茄子の炊いたん、青菜とお揚げの炊いたん、万願寺とじゃこの炊いたん、おからの炊いたん、大根と厚揚げの炊いたんなど、さまざまな料理の大鉢が並んでいて好きなもの選択できる。「炊いたん」とは炊いたものの意味で、食材に出汁や煮汁を加熱しながら染み込ませたもの。京都特有の表現かもしれない。酒のつまみとして3ー4品を頼み、一杯やるには最適だ。店によって味付けの違いがあり、好みのおばんざい屋を見つけるのも楽しい。

私がよく行く店は、 木屋町三条の「めなみ」 と新町通四条の「太郎屋」。「めなみ」は創業80年になる「おはんざい」の草分け的な店。割烹着姿の女将は3代目だそうだ。「太郎屋」は母と娘二人が切り盛りする居酒屋。どちらも地元客や観光客でいつも賑わっている。

今年は感染防止のため、カウンターに大皿は並べず、調理場で小皿に盛り付けて提供している。カウンターに並べられた「おばんざい」を見ながら注文する楽しみは、しばらく望めない。

本格的な会席料理

おばんざいに比べると価格は高くなるが、やはり会席料理は京料理の魅力を味わえる。老舗のコース料理だと2万円以上の予算は必要だが、店の雰囲気や部屋の室礼、盛り付けの美しさなど価値は高い。


季節を彩る京料理 ※本文中に出てくるお店の料理ではありません

私の好きな京料理屋は、八坂神社南門近くにある「直心房さいき」。裏路地にある隠れ家的な店。ご主人の才木さんは3代目、現在の場所に店を移転して10年余り。料理は四季折々食材が変わる。春は桜鯛や筍、夏は鱧や鮎、秋は松茸や栗、冬は蟹など旬の食材を美しく盛りつけた料理は、五感を刺激する。とくに新鮮な京野菜を素材の味を生かした調理法で提供してくれる。だしの優しい味わいも含め、ほっこりした気分になれる。

才木さんは料理人として仕事をしながら京都大学大学院農学研究科で学び修士課程を卒業、現在は龍谷大学大学院の博士課程で学んでいる。研究テーマはナノバブル。専門的でよくわからないが、料理にも科学的な視点が役に立つとのこと。和食がユネスコ無形文化遺産に登録された際、パリで開かれた祝賀晩餐会でも腕をふるったようだ。また、外国人に日本料理の魅力を伝える活動もされている。

京都には有名な料理屋が数多くあり、その奥深さは、まだ知る由もないが、気に入った店で出される料理を通じて四季の移ろいが感じられ、幸せな気持ちになれるから不思議だ。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラー

1953年東京生まれ、東京都立大学卒業、株式会社リクルートに入社。進学や住宅の情報誌の営業や企画・人事・総務などの管理職を務め、1995年マネー情報誌『あるじゃん』を創刊。発行人を務めた後、2004 年 ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラーの資格を活かし、“キャリアとお金”のアドバイザーとして独立。企業研修の講師や個別相談を中心に活動中。大学の非常勤講師も務める。東京と京都のデュアルライフを実践中。

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