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究極の「和」のかたち #2 ——茶室を引き立たせる道具の数々とその意味(2/2ページ)

MieMie

2022/02/14

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茶碗の種類としつらえの決め手になる生け花


さまざまな種類がある茶碗

「茶碗」は、お茶を飲むにあたって一番必要で、最も身近な茶道具です。

茶碗には日本で作られた「和物」と海外から入ってきた「唐物」があります。茶碗には正面があって、絵が描かれていれば、その部分が正面です。絵が描かれていない場合には釉薬が流れていたり、凹んでいたりなど、他の部分に対して特徴のある部分が正面(位の高い部分)になります。

亭主(茶事を主催する人)が客人にお茶を出す際には、茶碗を正面に向けてすすめます。これは客人に対する亭主の「心配り」の動作です。

一方、客人はお茶をいただく際に、お茶碗の正面から右まわりに回して正面を避けた箇所からお茶を飲み、飲み終えたら正面を向けてお返します。この作法には、お茶碗の一番位の高い部分を避けてお茶をいただくことで、亭主への敬意を示す意味があります。


イメージ/©︎anyka・123RF

最後に「生け花」のお話です。

「しつらえ」の一つでもある「生け花」の作法は室町時代に完成した書院造(しょいんづくり)の住宅の座敷を飾るための創意工夫として成立したとされています。

「生け花」を置く室内は自然界の「静」や「動」を表した精神性の高い空間であり、草木の枝、葉、花などを切って一定の形式に則して花器に挿して座敷室内を飾っていました。

江戸時代からは、生け花にも家元制度が発展し、現在に至るまで、さまざまな流派や作法が派生し、伝統的な様式から海外様式を取り入れて革新的な変化を遂げる流派まで多種多様に進化し続けています。

生き生きとした花や草木は、生命力に満ち溢れ、ハッと目が引き付けられる生きたまさにインテリア・オーナメントです。求められる空間には流派や様式にこだわらず、自由な発想で花を生けると居心地の良い空間に仕上がります。

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この記事を書いた人

MIE色彩研究社代表

自由が丘産能短期大学能率課インテリアコーディネーター課程卒業。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。東京商工会議所カラーコーディネーター検定試験認定講師。電子機器製造メーカー、産業機械商社に勤めながら、社会人学生として産業心理学を学び、色彩と人間の意識との深い結びつきに共感。さまざまな社会経験を通して、色彩と人の意識に関わる数多くの実証の基、色彩スペシャリストとして事業を展開。東京都中央区銀座のオフィスではこれまでに培ったパーソナルカラー、空間色彩、商品色彩、カラースクール、色彩セミナーなどを個人、法人を問わず全国で行っている。趣味は街散策。

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