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失敗しない物件選びの基礎知識(10)

融資条件や間取り、築年数はどこまで妥協できるのか(2/2ページ)

枦山 剛枦山 剛

2016/03/14

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築年数よりもメンテナンスの状態が大事

ここから紹介するのは、不動産投資において譲歩しても大きな問題にはならないであろうというポイントです。もちろん、理想に近ければいいのですが、それほど優先すべきではない部分です。

まずは築年数です。これまでも話は出てきましたが、一般的に新築・築浅と比較して中古物件は利回りが高くなります。築年数そのものよりも、物件の状態がどうか、メンテナンスがしっかりされてきているかどうかをしっかり見きわめましょう。特に機械式の立体駐車場やエレベーターなどは、状態が悪いと高額な修理費用が発生しますので注意が必要です。

例外としては旧耐震(1981年以前に建てられた物件)のもの。旧耐震に関して融資が厳しくなるので、初心者向きではありません。

また、古い物件のなかには建物の外観が傷んでしまっているものもあります。建物の構造や強度に問題なければ、改修することで見栄えをよくすることができます。外観工事にコストをかけても、収支計画上は問題がない、または売却時のキャピタルゲインで取り返せる見込みが高い物件であれば、購入タイミングでの外観工事を選択肢のひとつとして考えられます。外観があまりよくないことで価格が下がっている物件を購入し、工事をしてから賃貸に出すのはよくあることです。

同様に室内の設備についても、購入時に素晴らしいものがついている必要はありません。最近の入居者が好むオートロックやIHクッキングヒーター、トイレのウォシュレットなどはそれほど高価ではないので、後からの取り付けが可能です。

立地によって優先すべきポイントが変わる

最後に、都市部の物件と郊外の物件について、それぞれの優先すべき点と譲歩できる点についてお話ししましょう。

まず都市部においては駅からの距離は譲歩できないポイントですが、郊外では譲歩しても大きな問題にはなりません。都市部の物件を探している入居者は、賃貸物件のポータルサイトで「どこどこの駅から徒歩何分以内」という条件で検索するので、そこから漏れるような物件だと埋もれてしまいます。

逆に郊外の物件で必須になるのが、駐車場です。公共交通機関の便が悪かったとしても、車があれば大丈夫というのが郊外を狙う入居者の特徴のひとつですので、車が足となりそうなエリアでは駐車場のある物件を選びましょう。都市部では駐車場の優先順位は低くなります。ただし、近隣に大型工場や大学などがあり賃貸物件の需要がこのような施設から発生している場合は、施設が撤退になると入居者が激減しますので注意しましょう。

ここでは、不動産投資を行なう上で、ある程度は譲歩が可能な点についてお話ししました。もちろん、投資者自身の投資についての考え方もあるので一概にはいえませんが、ここでお伝えしたポイントをひとつの目安として、物件の状況と照らし合わせて購入を検討してみてください。

 

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この記事を書いた人

中学卒業後に大工、建設業、鉄工業などを経て、97年、若干23歳の時に鉄工業で創業する。大手ゼネコン5次下請けからスタートし、最終的には総合建設業者として大手ゼネコン5社の内2社、準大手ゼネコン5社、財閥系商社、建材メーカー、設計事務所、他数百を超える顧客と直取引するまでになり職人100人前後を抱える。同じころ飲食店、建設業専門経営コンサルタント業などを行なう関連会社3社も経営し、事業の多角化を行なう。 その間、約24年で多くの大型開発工事、投資用マンションとアパート建築、高層ビル建設、公共施設工事、メーカーの建材開発に携わり新施工法や新製品の商品化に貢献し徹底した品質管理と原価構造を学ぶ。しかし、拡大路線が裏目に出て廃業に至る。これを契機に経営者としての人生を徹底的に見つめ直し、顧客と社員と自身の相互利益を探求し学ぶ。 その後、不動産コンサルティングの業務に魅了され転身。 業界の活性化や顧客満足度の向上を阻む建設業界や不動産業界の古い慣習と収益構造に疑問を持ち、既成概念にとらわれない顧客サービスを模索し経営方針を固める。 現在、「経済活動を通し社会の不満、不便、不安を解消する」を経営方針に掲げ、顧客と企業の相互利益がかなうビジネスモデルを手掛け、建設と不動産に関わるすべての業界に変革を呼びかける。 (保有資格) 不動産系 1. 宅地建物取引士 2. 管理業務主任者 不動産コンサル系 1. 不動産コンサルティングマスター (合格後未登録) 2. 住宅建築コーディネーター 3.賃貸不動産経営管理士 4. 既存住宅アドバイザー 建築系 1. 一級建築施工管理技士 2. 監理技術者資格者証 3. 監理技術者講習修了証 4. 建築物石綿含有建材調査者 5. 特殊建築物調査資格者 6 マンション健康診断技術者 7. ブロック塀診断士 8. 建築仕上診断技術者 金融系 1. 貸金業取扱主任者 2. 住宅ローンアドバイザー ほか、損害保険募集人資格4種保有 その他 1. 相続診断士 2. 上級個人情報保護士 ほか、労働安全衛生法による資格16種保有

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