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賃貸住宅オーナーは「幸せそう」「いやそうは見えない」違いのカギは利他的行動?(2/3ページ)

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賃貸住宅オーナーは利他的行動をとる場面に恵まれている

これを受け、同研究所は、海外での検証なども併せ、

「利他的行動が幸福度を高める可能性を示唆するものである」

と、まとめている。

もっとも、いかがだろう。こうした実験や分析を行わなくとも、われわれはなんとなく普段から分かっているのではないか。

実験や調査を行うことはもちろん大事で必要なことだが、「利他的行動には自らへの幸福感が伴う」ことについては、われわれは多分、多くが日常の実感や人生経験にもとづいてのこととしてそれを知っている。

そのうえで、これを過剰に求めすぎたネガティブな結果として、よく地域の問題となるハトや野良猫へのエサやりといった行動(身近な動物への利他的行動にほかならない)の発生があることを思い出される方も多いに違いない。

ともあれエサやりは措くとしてオーナーは、この利他的行動をとる場面にとても恵まれやすい仕事をしている。

まず、物件の掃除がそれにあたる。自分の家の玄関でもないのに、他人の住む建物のエントランス周辺に一生懸命水を撒き、デッキブラシをかけ、落ち葉や土ぼこりを集めたり、窓もせっせと拭いたりする。物件の庭を丹念に飾る人もいる。入居者の気分を和ませようと、丹精込めて木や花の手入れをする。多少の暑さ寒さもいとわない。駐輪場の自転車がズレて置かれていれば、きれいに整頓をする。あるいは塗料を買ってきて地面に白線を引く。それによって、入居者同士が嫌な思いをさせ合うトラブルも予防される。

およそ管理会社に仕事と判断を丸投げしないかぎり、多くの利他的行動を行うチャンスが、オーナーには年がら年中訪れることになる。

ただしこれらは、いずれも厳密には「顧客」である入居者の利益につながるものだ。なので、オーナーがそれを行うことについては、純粋な利他的行動であるとはいいにくい。要は、客商売のためのサービスといえばサービスである。

しかしながら、管理会社に任せる、あるいは、苦情が出るギリギリまで物件には構わずに放っておくなど、やらずに済ますならばその選択肢もあるという意味においては、オーナーによる物件への“世話”は、ある程度、利他的行動的側面を持つものといえなくもないだろう。

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