ファミリー向け分譲マンションに特化した不動産投資法――区分マンションは儲からない? そんなことはありません(2/3ページ)
横山 顕吾
2021/05/21
自分が住みたいと思う物件で勝負する
賃貸住宅としては、①一棟アパート、②一棟マンション、③戸建て、④区分マンションの4種類しかありません。この4種類のうち、どの賃貸住宅であれば私自身が「いい物件」と思えるかをまず考えました。言い換えると、この4種類のうち、どの賃貸住宅に自分が住みたいと思うかです。自分が住みたいと思えない家を、入居者(お客様)に提供することは難しい(最初はできても、いずれできなくなってしまう)と経験から学んでいます。
まず、一棟物の賃貸アパート、一棟物の賃貸マンションには「自分が住みたい」とは思えませんでした。
戸建ては「住みたい」と思えます。「庭付き一戸建てに住むことは夢」と思う人も現実に多いです。しかし、賃貸経営で考えた場合、戸建てはエリアが郊外になってしまいます。立地力が低い可能性が高いということです。また、投資資金を少なめにする必要性から、戸建て賃貸の多くが、どうしてもボロ戸建てが中心となります。ボロの木造住宅を復活させることはいいことだと思いますが、構造体が本当にアウトの可能性もあり、リスクも高いです。私は戸建てであっても「ボロ」にはあまり住みたくないです。耐震強度も心配です。
となると、残りの区分マンション一択です。区分マンションであれば私自身「住みたい」と思うし、ほぼすべての物件がRC造で耐震強度も高く安全です。
繰り返しになりますが、自分が住みたい物件であれば、自信をもって入居者(お客様)に住んでいただけます。この視点は、今後の少子高齢化時代の賃貸経営では、とても重要になってきます。
区分投資はワンルームだけではない
次に区分マンションには、ワンルームとファミリー向けの2種類に分かれます。
不動産賃貸業界で「区分投資」というと、ほとんどがワンルームマンション投資です。しかし、ワンルームマンションは、確かに分譲マンションではありますが、実態は一棟物の賃貸マンションとほぼ一緒です。オーナーが一人かそうでないかの違いにすぎません。オーナーが多くいることで、むしろ適切な管理がしにくくなるリスクも高くなります。快適性が損なわれる可能性も高いです。となると、区分マンションでもワンルームは「自分が住みたい家」にはなりません。
そうではなく、オーナーが実際に居住している、そして生涯自身の住まいとして暮らしているファミリー向け分譲マンションが最後に残ります。私自身が住みたいと思う物件も多いです。
ファミリー向け分譲マンションの多くは、新築時には何千万円もの住宅ローンを組んで購入したマイホームが大多数です。購入者(オーナー)は資産価値を維持したい気持ちが強いですし、建物自体をしっかり管理し、長持ちさせようとする人も多いことが予想できます。
イメージ/©︎rawpixel・123RF
そういったことから、ファミリー向け分譲マンションでの不動産投資をすることを決めました。しかしその頃は、ファミリー向け分譲マンションで不動産投資をしている人がほとんどいませんでした。書籍もありませんでした。
この記事を書いた人
マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸経営アドバイザー、防火管理者、損害保険募集人
1970年岡山市生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、転職を繰り返し、6つ目の勤務先として分譲マンション管理会社に就職。2008年から一般財団法人日本不動産コニュニティー(J-REC)広島支部長を務め、12年に投資用分譲マンション2戸を取得。17年に区分マンション所有に特化した専業家主へ転身。趣味はリフォーム、ラグビー観戦。