ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

賃貸経営“幸響曲”――⼤家には、「住まい」と「地域環境」の両⽅を整えていく役割がある(2/3ページ)

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

⼦育てを⽀援するデザイナーズ物件

——⼤城さんの賃貸経営の⼤きな特徴が、そのデザイナーズ物件です。なぜ、家賃取り⽴ての経験が影響しているのでしょうか。

当時、古くて汚れた物件に住み、家賃を滞納する⼊居者さんの部屋は、モノがあふれていたり乱暴に扱われていたりすることがよくありました。だから、祖⽗の物件を建て直すときは、「きれいな物件」にしたいと潜在意識に刷り込まれていたんだと思います。

——デザイナーズ物件を始めとした現在の⼤城さんの賃貸経営には、その15歳からの経験に加えて、教育という仕事も影響しているそうですね。

私は、⼤学を卒業してから25年間、3年前まで教職に就いていました。私の⺟も元教員で、祖⽗は賃貸業とともに幼稚園も創設しており、未来を創る⼦どもたちのためにできることは何か、街にいかに貢献できるか、といったことを考えていたようです。ですから、賃貸業と教育という2つの仕事が我が家にはあったのです。

——⼤城さんが教員として経験してきたことも賃貸経営にも⽣かされているということでしょうか。

もちろんです。私は、不動産投資家というよりは街の“⼤家さん”なんです。そして、街に住む⼈たちの⼦育てを⽀援することが⾃分の仕事だと思っています。⽇本の未来を創る⼦どもたちが快適に暮らせる住宅を考えたとき、そこには親御さんのあふれる笑顔があることが⼤事です。そういった住宅ですくすくと⼦どもたちが育っていってほしいと願っています。つまり、住環境を整えることは、⼦どもたちの成⻑の源になる。だから、ファミリー向けのきれいなデザイナーズ物件にこだわっているんです。とくに、消費のカギを握るといわれる⼥性が「ここに住みたい!」と思えるような⾼級感のあるデザインにこだわって物件創りをしています。その結果、相場よりも⾼い家賃で満室を維持できています。

実体験や失敗から住みやすい物件を創る

——とはいえ、デザイナーズ物件は「住みにくい」「使いづらい」といったデメリットも多く聞かれます。

デザイナーズ物件の私の定義は、「建築家とオーナーが⼀緒に創り上げていく物件」です。⾒た⽬だけでなく、「ここに⻑く住みたい」と思ってもらえる物件を創ること。そのため、ハウスメーカーなどに任せきりにするのではなく、建築家と⼆⼈三脚で物件を創っています。さらに、実際にその物件に私⾃⾝が住んでみたこともあります。そうすることで、物件のメリット・デメリットを把握することができるからです。

——実際に住んでみた経験を教えてください。

⼦育てアパートとして創った物件に住んだときには、いくつか課題がみつかりました。例えば外階段。既製品のものは幅が120cmだったのですが、ベビーカーを持って上がるには幅がギリギリだということが分かりました。お⺟さんがちょっとつまずけば、⾚ちゃんに危険が及ぶこともあります。 

そのため、180cm幅の特注階段を作りました。また、群⾺では雪が降る時期があります。階段を降りる際、とくに下段の⽅はすべりやすくなります。それも危険だと感じ、下3段だけはデザイン性のある、すべりにくいざらめ⽯のブロックを敷きました。


ベビーカーもラクラク運べる180㎝幅の特注階段。下3段は雪が積もってもすべりにくい、ざらめ石のブロック造り

——内装については何かありましたか。

⾼級感のあるデザインや設備を整えていますが、とくに設備に関しては、10年、20年経っても修繕できるもの、アフターケアがあるメーカーのものを使っています。実は⼀度、デザイン性や価格だけにこだわって設置したために、壊れたときに修繕する術がない、あるいは修繕に逆に費⽤がかかってしまったという経験があります。そのため、おしゃれで、かつ⻑期間にわたって供給されているものを使うことはとても⼤切な点です。私の賃貸経営は、すべてこういった失敗や経験が反映されているんです。

次ページ ▶︎ | みんなが幸せになる世の中を追い求める 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。

ページのトップへ

ウチコミ!