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賃貸経営“幸響曲”――⼤家には、「住まい」と「地域環境」の両⽅を整えていく役割がある(1/3ページ)

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聞き⼿/向園 智子 ⽂/財部 寛⼦ 写真/吉田 達史(Photo Current 66)

群⾺県⾼崎市を中⼼に⼤家業を営む⼤城幸重さんは、祖⽗の賃貸経営を15歳から⼿伝い始め、⼤学卒業後は教職に就き、3年前から賃貸経営を専業としている。⼤城さんが経営する賃貸物件の多くは「デザイナーズ物件」。とはいえ、単におしゃれな物件というわけではない。住む⼈の暮らしや地域のことも考えた、本当に住み続けたくなるデザイナーズ物件を提供している。また、⼤家には地域環境を整える役割があると語る。「北関東⼤家の会」代表でもある⼤城さんに、⼤家業の本質を語ってもらった。

15歳で経験した賃貸経営は「嫌な仕事」

——⼤城さんは15歳から賃貸経営に携わっていたということですが、どういうことでしょうか。

私が15歳のとき⽗が他界し、その後は祖⽗が⽗親代わりとなって私を育ててくれました。その祖⽗が賃貸業を営んでいたため、⽗が亡くなった後、学校が休みの⽇に祖⽗の⼿伝いをするようになったのです。

——具体的には、どのようなお⼿伝いをしていたのですか。

私の家は農家でもあったので、朝4時半に起きてまずは⽥んぼの除草作業です。近所の⼈たちと⼀緒に除草をするのですが、⾃分が⼀番若いからと除草液が⼊った重いタンクをよく背負わされていましたね。 

賃貸業に直接関係する部分では、家賃回収や簡単な修繕、草むしりなどをやっていました。古い⻑屋式の貸家で、いまのように管理会社に任せるような時代ではなかったので、賃貸業のさまざまな仕事をそのときに覚えていきました。しかし「賃貸業は嫌な仕事だな」と思っていました。

——なぜ、嫌な仕事と思ったのですか。

当時は、サイディングなどない時代で貸家の外壁は⽊でした。壁が落ちた部分のサイズに合わせて端材を切って打ち付け、修繕しました。また、敷地内は、いつも草がぼうぼうだったので、祖⽗と⼀緒によく草刈りをしたものです。本当は友達と遊びたいのになかなか遊べない。そのうえ、作業は⼤変。ただし、それよりも嫌だなと思ったのが、家賃回収です。

——⼊居者のところに直接家賃回収に⾏っていたわけですね。

あるとき、家賃を滞納している⼊居者さんのところに家賃を取りに⾏くように祖⽗から⾔われ、⾏ってみると、体重が120㎏くらいありそうな体格の⼤きな⼈が出てきました。まだ⾼校⽣の⾃分は、「家賃を払ってください」の⾔葉が怖くて⾔えない。ただ、「すいません、おじいさんに⾔われてきました」と⾔うのが精いっぱい。すると、「おめぇ、何しに来たんだ?」と⾔い返される。それで、「おじいさんに⾔われて来ただけなので、またおじいさんに聞いてきます」と戻る。でも、また取り⽴てに⾏かされる。そんなふうに⾏ったり来たり(笑)。この家賃の取り⽴ては嫌でしたね。しかし、現在⼿掛けているデザイナーズ物件創りは、これが原体験になっていると思います。


⼤城 幸重(おおしろ ゆきしげ)/1968年群⾺県⽣まれ。株式会社クレセール代表取締役。北関東⼤家の会代表。新築デザイナーズ賃貸プランナー。賃貸不動産経営管理⼠。ファイナンシャルプランナー。15歳のときに、祖⽗が経営する⻑屋式貸家の清掃と家賃回収の⼿伝いを始める。⼤学卒業後は、⼩学校と中学校の教員として25年間勤める。2017年に退職、賃貸経営を専業にする。東京、京都、北関東、海外などの国内外に不動産を持ち、群⾺県⾼崎市を中⼼に9棟35室を経営。太陽光発電も13基所有している。

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