イヤな話は聞きたくない? でも、心がタフじゃないと賃貸経営の行く手は厳しい(2/3ページ)
ウチコミ!タイムズ編集部
2020/10/16
問題解決のため防具を着込んで物件に乗り込む
「重要で、かつ抱える問題や課題が大きい」状態は、その過程で発生する。
たとえば、入居率が深刻なほど低い、叩き売りされているような物件であれば、入居者に問題があるケースもある。放っておくと、新しく入居した人も退去ということになり、これが繰り返されるとAさんにとってのゴールは遠のく。
そんなとき、Aさんは問題解決のために、自ら物件に乗り込むのだ。そして入居者の言い分をじっくりと聞き取り「退去を出さない環境づくり」をするという。
隣人との関係で、嫌な思いをした挙句、予定外の引越しを迫られ、急な出費を余儀なくされるなど、誰もが望むものではない。「可能なかぎり、退去が発生しないみちを探る」――それこそがオーナーにとっても、入居者それぞれにとっても、もっとも損失が少ないWin・Winのシナリオであるという計算だ。
加えて、こうしたスタンスを地道に維持することは「管理会社には難しい」というのが、Aさんの見方でもある。なぜなら、彼らの持ち時間やパワーは、数百、数千の物件に切り分けて配分されているからだ。
「管理会社に優秀な事務管理はできても、マンツーマンでの時間をかけた対応が重要な、深い部分での顧客サービスを望むのは“構造として無理”」、それがAさんの答えだ。
なので、気に入らないことがあるとモノをもって暴れ出す危険性がある入居者の話を聞くため、Aさんは服の下に防具を着込んで物件に乗り込んだこともあったという。
入居者から退去の申し出があれば、Aさんはかならず理由を尋ね、それが物件やサービスへの不満であれば、真摯に受け止め、次への糧とする。
つまり、「入居者さんを愛するが、恐れず、ひるまない」「問題の発生を怖がらず、問題解決する達成感の方をやりがいとする」といったように、“タフ”であることこそが、Aさんのオーナーとしての基本的な成功の秘訣のようだ。
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