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真夏の炎天下にエアコンが故障

入居者さん緊急避難!改正民法施行後はどうなる?(3/3ページ)

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賃料減額の度合いは?

さて、そこで気になってくるのが、上記「賃料減額」の度合いです。

たとえば、エアコン故障や給湯器故障、トイレの故障等が発生し、入居者さんに不便を強いてしまった場合など、どのくらい家賃を値引きして差し上げなければならないのでしょうか?

これについて、いまのところはっきりとした答えはありません。

ただ、ひとつ基準になるかもしれないとされている数字があります。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)が取りまとめた「設備等の不具合による賃料減額のガイドライン」に示されている目安です。(こちらの国交省資料の32ページに抜粋が載っています:民間賃貸住宅に関する相談対応事例集)

もっとも、実のところこの目安、2009年に公表されたものです。そのため、10年を経たいまとなっては、入居者さん側にしてみれば若干不満足な内容になっているとの意見も少なからず聞かれます。

たとえば、エアコンが7日間作動しなかった場合の賃料減額は、計算すると家賃の多寡にかかわらず約667円です。月額です。

もしも真夏に事故が起きたとして、「ひと月分の家賃から667円引いて振り込んで下さい」で、納得してもらえるか…?

と、なると、日管協さん自身も講演等で述べてはいますが、改正民法施行後の611条にかかわる「当然の賃料減額」の基準については、判例等が出るまでは本当に「わからない」…。

われわれはとりあえず、そう思っておいたほうがよさそうです。

しかしながら、それでも「わからない」のままではリスクが大きいということで、上記目安などを参考にした細かな規定を賃貸借契約書に盛り込む例も、今後は現れてくるのかもしれません。

(文/朝倉継道 画像/123RF)

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