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敷金とアパート・マンション退去時の原状回復費用のトラブル

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敷金・礼金と退去のトラブルのお話しの最終回は、「民法改正」の話をします。すでに、ご存じの方も大勢いらっしゃると思いますが、今回の改正は120年ぶりの改正です。

 

【何が、どの様に変わるのか?】

 

詳細については、改正後にお知らせしたいと思いますが、一定の方向性などは既に発表されています。

 

・敷金の定義が決められます。

どういう事かといいますと、今までの民法では「敷金」についての定義がありませんでした。「定義」とは、法律上「敷金」がどんな性質のもので、何のために使われるものかを明らかにします。

 

今までは、この定義が無かったので、過去からの慣習や悪く言えば勝手な解釈で運用されていました。
その結果が、アパート・マンション退去時のトラブルにも発展していたわけです。この「定義」が決まると、決められた性質や何のために使われるのかが法律上決まりますから、それ以外の利用法は「法律に触れる」形となります。

 

もう少し、わかり易く説明しましょう。敷金の定義=家賃などの担保 と定義します。更に、契約終了後、部屋を引き渡した時に返還義務が発生する。これによって、「一方的に返還しない」という話だけでは通らなくなる可能性が大きくなります。貸した部屋の返却がされたら、アパート・マンション退去時に敷金を返還しないといけない事になります。

 

もちろん、借主・貸主で合意の上、クリーニング費用などの相殺は可能ですが、返却義務が出来ると当事者双方の合意なり、合理的な理由が無い限り返還しないで「訴訟」になった場合、勝てません。
その位厳しくなると言う事です。

 

・原状回復についても、具体的に示されます。

今までは、日本中に基準となるものは「東京ルール」ぐらいしかありませんでしたが、その東京ルールが民法の規定に昇格します。「借主は通常の使用による傷みや経年変化を修理しなくてもよい。」となります。

 

簡単に言えば〜〜〜

  • 日々の生活でできた畳のすれ
  • 通常使用の壁紙(クロス)の汚れや日焼けによる焼け・色あせ
  • 襖や建具、備えられた設備類についても同じ様子になる。

因みに、現在の「東京ルール」の話をしておきましょう。

 

■「東京ルール」とは

 

「東京ルール」とは、「東京都の賃貸住宅紛争防止条例」に基づいて作られたものです。

 

ただ、内容はすさまじく細かく規定されていて、一人の借主が同一の部屋を連続で6年以上借り続けた場合住宅のクロスを含めた耐久消費財の部分は、残存価格1円となり、原状回復費として借主に請求できないと決められています。もちろん、年数だけではなく借主の使用のし方の規制、壊したもの等は場外されます。

そして、アパート・マンションなど部屋の耐久消費財、設備など細かく規定が決められています。が、条例である事と、罰則などの規定が明確になっていない事、東京都でしか実践されていない事で、完全に実践されきっていない部分がありました。

 

今回の件は、「民法」での改正です。決められ方によっては、業界の趨勢が大きく変わって来るかもしれません。賃貸住宅を経営している方々は、注目してください。法律に抵触してしまうやり方は出来ませんので、内容を良く見て、対応が必要でしょう。

 

反面、借主さん側では、賃貸契約時にトンデモナイ原状回復の条文が載せられていた場合でも、今回の法改正の影響は及びますので、有利になる部分も多いでしょう。借主さん側も、十分に注目です。

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この記事を書いた人

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