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業界の悪しきカルチャーを暴く(4)

不動産会社が自分の手の内を明かさないのは当たり前(2/2ページ)

大友健右大友健右

2016/03/14

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自社の利益を最優先するカルチャーが事態を悪化させている

でも、不動産会社の営業マンは、未来を予想できる占い師でもないし、生きる目標を指し示せる賢者でもない、ごく普通のサラリーマンです。そもそも、そんな彼らが、賃貸にすべきか、購入すべきか、という問いに答えを出すことなどできないのです。

そしてサラリーマンである彼らは、当然、自分が担当している物件をすすめる口実として賃貸物件、あるいは購入物件のメリットを語るはずです。お客さんの価値観やライフプランといった部分に踏み込んで、親身になって住宅を購入すべきかどうか考える営業マンはゼロとはいいませんが、決して多くはないはずです。

決して営業マンが悪いわけではありません。そこには営業成績を上げなければならないというビジネス上の理由と、むずかしい質問への返答をごまかさざるを得ないという事情があるのです。そして、顧客の利益よりも自社の利益を何がなんでも優先するという不動産業界の悪しきカルチャーが、そうした事情に拍車をかけていることも無視できません。

賃貸か購入かを判断できるのは住む本人だけ

また、不動産業者が先に述べたような「賃貸物件を得意とする業者」や「購入物件を得意とする業者」の2種で分けられるわけではなく、「リフォーム事業を手掛けていて、中古物件+リフォームを積極的に売り出そうとしている業者」とか、「買い手の事情を無視して担ボー( http://sumai-u.com/?p=1081 )がつく物件を売ることを優先してしまう営業マン」などなど、業者ごとに、そしてそれぞれの案件ごとにさまざまな利害が存在することです。

この問題をさらに複雑にしているのは、チラシや看板などを見ても、お客さんのほうからその業者がどんなビジネスモデルで商売しているかを判断するのはむずかしいということです。

そして、売買が弱い不動産会社であっても、顧客よりも自社の利益を優先するカルチャーのなか、やってきたお客さんに「ウチは売買が苦手なのでほかに行ってください」と言える会社はなかなかないといえるでしょう。都合の悪い情報は顧客に伝えず、自社の利益を確保するのが当たり前のこととなってしまっているからです。

結論としていえるのは、賃貸か購入かの選択するのは、住む人本人だということ。そのためには、「住まい」の先にある「理想的な生活」がどんなものかをよく考え、できるだけ具体的にイメージできるようにしておくことが重要です。つまり、「賃貸か? 購入か?」を考える前に、「自分はどんな人生を送りたいか?」という問いがあるということです。

業者の言葉を鵜呑みにするのではなく、「理想的な生活」を追求する先に正しい道が延びているということを忘れないでください。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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