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BOOK Review――この1冊 『不動産投資と火災保険』 薮井馨博 著(2/2ページ)

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物件は、築年数が経つにつれ経年劣化が進み、修繕費用がかさむ。1回あたり数百万円~が必要となる大規模修繕費用は、不動産投資には避けられないコストだ。費用を極力抑えるには、日ごろからこまめなメンテナンスを施す必要があり、不動産投資のための物件を購入する際には、予め修繕リスクを把握し、将来の修繕費用の見通しを立てるため、マンション全体の修繕履歴を確認しておくのがベターだ。実は火災保険でも、経年劣化や、起こるべくして起こった(=メンテナンス不足等が原因の)故障・破損は補償の対象外。しかし、外壁の塗装がはがれた、エレベーターが故障したといった事態が起きた時でも、保険会社に対して「行なうべきメンテナンスはしっかりしてきた」と示せる修繕履歴があれば、「不足かつ突発的な事故」等としての交渉の余地が生まれるというわけだ。

ほかにも、火災等によって機械式駐車場が故障した場合、駐車場が物件の建物の一部とつながっていれば補償対象となること、一つの物件で複数の火災保険に加入するメリットの有無、後付け太陽光パネルを火災保険の補償対象に加えるために必要な手続き等、火災保険に関して、あらゆる知識を身に付けることができる。

長い目でみると、火災保険を適切に利用して、起こりうるリスクに過不足なく備えることは結局、不動産投資にかかるコストを抑えることにつながる。本書はそのことを、具体的事例を交えながら、分かりやすく教えてくれる一冊だ。

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この記事を書いた人

ウチコミ!タイムズ「BOOK Review――この1冊」担当編集

ウチコミ!タイムズ 編集部員が「これは!」という本をピックアップ。住まいや不動産に関する本はもちろんのこと、話題の書籍やマニアックなものまで、あらゆるジャンルの本を紹介していきます。今日も、そして明日も、きっといい本に出合えますように。

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