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BOOK Review――この1冊 『マンガでわかるこんなに危ない!?消費増税』消費増税反対botちゃん著(2/2ページ)

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多額の借金や社会保障費の不足を掲げる裏で、法人税は下がっている。大企業ほど法人税の負担が軽くなる仕組み。一方で、消費税が上がっていくことは、すなわち貧しい人たちに負担を強い、大企業とお金持ちが優遇されていることになる。

そもそも増税に反対する声があまり聞こえないこと自体がおかしいという。有識者やメディアはなぜ論じないのか。有識者会議に参加しているほぼ全員が政府や役所の仕事を受け、大仰な肩書きをもらったり、税金で海外視察に行っている。そんな御用学者や御用エコノミスト達が言えるわけがない。しかも権力を見張る役割をするメディアの代表・新聞が今回の軽減税率に組み込まれていることへの不安。本当に権力を正しく評価できるのかと心配になる。他にも、様々な側面から増税反対の論拠を述べているが、それは頁を開いて、確認してみてほしい。

本書の最後には、京都大学大学院教授の藤井聡氏が、今回の増税が「百害あって一利なし」であること、にもかかわらず国民が増税を受け入れざるを得ない風潮を「ポリティカル・コレクトネス」略して「ポリ・コレ」という言葉で説明している。世の中の流れに逆らわず、面倒を避ける風潮だ。国民は「ポリ・コレ」に飲み込まれているらしい。

増税前から言われていたことは、8%が10%に上がる今回の増税は、これまでの中でいちばん上昇率が低い。しかも食品に関しては軽減税率が適用されるため、国民の負担は軽いということだった。実際、9月に入っても駆け込み需要を煽るセールがそれほど目立たなかった。一方で、10%というキリのいい税率は計算が楽な分、人々の消費行動にブレーキをかけ、日本経済はデフレの悪循環に落ち込むという見方もある。

本書に書かれていることが本当かどうかは検証が必要であるし、反論もあるだろう。だが、次の選挙に向けて、一部野党では消費税減税を謳うところも出てきている。税金問題は我々の生活に直結するため、政争の具にされやすい。本書は、消費税増税の是非を今いちど考えるきっかけになるだろう。


『マンガでわかるこんなに危ない!?消費増税』
消費増税反対botちゃん著
ビジネス社刊
1200円(本体価格)+税

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この記事を書いた人

ウチコミ!タイムズ「BOOK Review――この1冊」担当編集

ウチコミ!タイムズ 編集部員が「これは!」という本をピックアップ。住まいや不動産に関する本はもちろんのこと、話題の書籍やマニアックなものまで、あらゆるジャンルの本を紹介していきます。今日も、そして明日も、きっといい本に出合えますように。

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