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〜この国の明日に想いを馳せる不動産屋のエセー〜

不動産情報革命の兆しか!? 不動産流通の在り方を根こそぎひっくり返すときがやってきた(3/3ページ)

南村 忠敬南村 忠敬

2022/02/18

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国は情報開示できるものはドンドンしていきますので、と言うけれど。“Base registry”という「基礎的情報基盤システム」なるものを構築するのだそう。期待は膨らむけれど、本気で取り組まないと“絵に描いた餅”になりそうで怖い。


国交省が推進する基礎的情報基盤システムは絵に描いた餅?/©︎tktktk・123RF

実は裏で繋がっている規制改革の目論見

3つの重点項目を見れば、それぞれ個別に“なるほど”と思わせてくれる内容だが、よくよく考えたらある共通点に気づかされる。それは、「詳細な情報」の取得を必須要件とする付加価値の創造。言い換えれば、閉鎖性の強い不動産業界の垣根を取り払って、IT企業などによる新しいビジネスモデルの参入を推進し、情報の非対称性解消や不動産DXの導入促進が実現すれば、日本の不動産市場の透明性が増すので投資が行い易くなり、流通の活性化をもたらすことが国民の利益に繋がる、ということではないか。

デジタル庁創設の目的の一つには、手続きのデジタル化や取引プロセスそのもののデジタル化が含まれ、我が業界に対しては不動産取引情報の開示と一元化が必須なのだろう。

すなわち、不動産業者専用のレインズDB上で情報項目を追加整理し、個々の物件に不動産IDを付与することで、物件ごとに各項目と外部情報を紐づけることが可能となる。それは、不動産情報の利用シーンが各段に増加することを意味し、民間IT企業やテック企業が積極的に利用することで不動産イノベーションが進み、新しいビジネスも誕生する、という筋書きが見えてくる。

さて、この革命的なレインズを含めた業界の変革に、巷の不動産屋さんたちは付いて来られるだろうか。

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この記事を書いた人

第一住建株式会社 代表取締役社長/宅地建物取引士(公益財団法人不動産流通推進センター認定宅建マイスター)/公益社団法人不動産保証協会理事

大学卒業後、大手不動産会社勤務。営業として年間売上高230億円のトップセールスを記録。1991年第一住建株式会社を設立し代表取締役に就任。1997年から我が国不動産流通システムの根幹を成す指定流通機構(レインズ)のシステム構築や不動産業の高度情報化に関する事業を担当。また、所属協会の国際交流部門の担当として、全米リアルター協会(NAR)や中華民国不動産商業同業公会全国聯合会をはじめ、各国の不動産関連団体との渉外責任者を歴任。国土交通省不動産総合データベース構築検討委員会委員、神戸市空家等対策計画作成協議会委員、神戸市空家活用中古住宅市場活性化プロジェクトメンバー、神戸市すまいまちづくり公社空家空地専門相談員、宅地建物取引士法定講習認定講師、不動産保証協会法定研修会講師の他、民間企業からの不動産情報関連における講演依頼も多数手がけている。2017年兵庫県知事まちづくり功労表彰、2018年国土交通大臣表彰受賞・2020年秋の黄綬褒章受章。

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