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〜この国の明日に想いを馳せる不動産屋のエセー〜

全ビジネスパーソン永遠のテーマ「会議」——民主主義的パワハラと多数決の暴力を回避する(1/2ページ)

南村 忠敬南村 忠敬

2021/12/16

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イメージ/©︎serezniy・123RF

万人に平等なもの、それは時間?

毎年のことだが、この時期になると、「一年、あっという間やな」とため息交じりにカレンダーを眺めている。世の中に平等なものがあるとしたら、それは「時間」だ、と皆さんはよく言われると思うが、拙者は全く思わない。時間の概念は人によって全く違うと思っている。

加齢とともに感覚的な時間の長短が“短”の方に振れるのには、その人の経験の蓄積量と関係しているそうだ。産まれたばかりの赤ん坊の一年は、1/1だが、二十歳の一年は1/20、還暦の一年は1/60。この分母が人生経験そのもので、脳内に記憶され、格納されているさまざまな経験の記憶が少なければ少ないほど、五感で捉える情報は新しい経験として蓄積される。これにかかる脳内作業は、経験値が高くなれば(経験の量が増えれば)その作業量が減るので、事象認識の処理速度は速くなり、主観的な時間は速く流れる。客観的時間は変わらないが、そう感じるらしい。

最近、「時間知覚」とか、「clock timing」などと呼ばれる脳神経科学の研究資料に遭遇する機会があり、俄か脳科学者気分に浸ってみた。

ヒトの脳内時間はデジタルである。得てして我々人間は時間の概念を語るとき、その思考はアナログであり、時間の流れを一本の線上に刻んで、「あの頃は……」と想いを馳せ巡らせる。つまり、時間とは連綿と連なっているもの、という認識で捉えている。しかし、脳では時間をデジタル認識している。時間の記憶はパルス(短時間の間だけに生じる振動現象)で計測された値として蓄積されているようだ。


イメージ/©︎mungkorn123rf・123RF

地球上の生物は、それぞれ“時計”を持っている。皆さんよくご存じの“体内時計(生物時計)”と呼ばれるものだ。実はこの時計が刻む時間の長さは極めて主観的であり、個体によって時間の捉え方が違うことが分かっている。つまり、客観的時間(時計の針が刻む時間とでも言おうか)は、1分は60秒で、誰にも同じ数値であるが、その1分が長く感じるか、短く感じるかは人によって違うということ。その理由がパルス数と関係していて、例えば、ボーっとしているときの1分と、時計の針の動きに集中しているときの1分は、時計に集中しているときの方がパルス数は増加するので体内時計の進みは速くなる。体内時計が速く進むと、自分の中では1分が経過しているのに、客観的時間である実際の時計の針は、まだ1分に達していない。つまり、時間の進みが遅く感じる、ということらしい。

“時の人”であるエンゼルスの大谷翔平投手は時速100マイル(160km/h)のフォーシームをキャッチャーミットに投げ込む。投手板(ピッチャープレート)からホームベースまでの距離は60.6フィート(18.44m)だから、翔平の指から放たれたボールがジェイソン・カストロのミットに収まるまでの時間は、0.415秒(その他抵抗は考慮せず)。目にも留まらぬ速さだが、この剛速球を確実に打ち返すには、時間知覚の理論を応用してバッターボックスに立ってみるのはどうだろう。つまり、この球速0.415秒に強く集中するのだ。集中度が極限まで増せば、バッターの体内時計は速く進み、「なんだ、大して速くないじゃないか!」と感じることができるかも知れない(笑)。

でも、そういえばプロ野球創成期、“野球の神様”と呼ばれた読売巨人軍・川上哲治氏のこんな名言があったなあ……「ボールが止まって見える!!」


イメージ/©︎yuran-78・123RF

民主的であるはずの会議は本当に平等か

不動産屋だからといって、会議なるものに縁がないわけではない。ましてや業界団体に長く関わっていると、所属協会、関連団体、所轄行政庁、地元地方公共団体やら何やら、委員会や審議会、ワーキングや検討会、理事会、総会などなど、年間に出席する“会議”の数は多い年で300回を超えることも。しかし、だ。同じ2時間の会議でも、4時間に感じることもあれば、あっという間の会議もある。

それはさておき、会議は民主的に行われなければならず、何人も会議において純粋に議案審議に関してした発言は、議場外で責任を問われることはない(ノーサイドの原則)。だからといって何を言っても許されるわけではない。人格や人の尊厳を傷つけたり、根拠のない反論によって相手方の提案や意見を否定するなどは、厳に慎まなければならない。

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この記事を書いた人

第一住建株式会社 代表取締役社長/宅地建物取引士(公益財団法人不動産流通推進センター認定宅建マイスター)/公益社団法人不動産保証協会理事

大学卒業後、大手不動産会社勤務。営業として年間売上高230億円のトップセールスを記録。1991年第一住建株式会社を設立し代表取締役に就任。1997年から我が国不動産流通システムの根幹を成す指定流通機構(レインズ)のシステム構築や不動産業の高度情報化に関する事業を担当。また、所属協会の国際交流部門の担当として、全米リアルター協会(NAR)や中華民国不動産商業同業公会全国聯合会をはじめ、各国の不動産関連団体との渉外責任者を歴任。国土交通省不動産総合データベース構築検討委員会委員、神戸市空家等対策計画作成協議会委員、神戸市空家活用中古住宅市場活性化プロジェクトメンバー、神戸市すまいまちづくり公社空家空地専門相談員、宅地建物取引士法定講習認定講師、不動産保証協会法定研修会講師の他、民間企業からの不動産情報関連における講演依頼も多数手がけている。2017年兵庫県知事まちづくり功労表彰、2018年国土交通大臣表彰受賞・2020年秋の黄綬褒章受章。

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