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全国初 空き家調査アプリ『空き家しらべーたー』 兵庫県川西市の革新的な取り組みとは(3/5ページ)

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川西市は自治体が施策として空き家対策を進めるだけでなく、市民側の活動に市職員が参加している。官と民が近い距離で協働し、同じ危機意識を持って取り組んでいることが分かる。


兵庫県川西市の主なニュータウン概要(※NTはニュータウンの略) 図/川西市都市政策部

「川西市は住宅都市であるため、市民からの税収が貴重な財源となっています。市内10カ所のニュータウン人口は市全体の4割になり、大きな割合を占めています。ニュータウンの高齢化、人口減少は空き家化の大きな要因であり、19年度の調査では川西市の高齢化率31%、年少人口比率は12.2%となりました。川西市のニュータウンのなかでも、規模の大きい主要な3団地(清和台・多田グリーンハイツ、大和団地)では、10年間で3000人ほど減少していることが分かっています。街の魅力が低下すれば、さらなる空き家増加の悪循環に陥る可能性があり、市の財政を考えるうえにおいても悠長にはいられない状況です。官と民が近いのは、このようなお互いが助け合う関係だからでしょう」(担当者)

市によると、18年の住宅・土地統計調査で市内の空き家は空き家戸数8600戸と推測された。この数は市の住宅全体の12.1%にあたるという。

「空き家の実態は5年おきに国が行う住宅・土地統計調査で把握していますが、統計値だけでは実態は分かりません。今日、空き家でも、明日に空き家が解体されているかもしれない。あるいは、何年かに一度、空き家の調査委託をしても、日常的な変化にはついていけない。そんな方法では、問題解決につながらないかもしれません」(担当者)

民間の不動産業者が委託を受けていない空き家を見つけ、調べたうえ流通させることは実質的に困難である。市の職員だけで、市全体の8600戸の空き家をマンパワーで掘り起こし、登記簿や市税状況を調べ、連絡、個々に相談を受け将来的な解決方法を探るというのはさすがに無理があるだろう。このような状況のなか川西市は、空き家が増えていってしまう危機感もあり、『空き家マッチング制度』と、空き家調査アプリ『空き家しらべーたー』の開発を始めた。

次ページ ▶︎ | 空き家発掘から流通・活用を見据えた 『空き家マッチング制度』

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