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全国初 空き家調査アプリ『空き家しらべーたー』 兵庫県川西市の革新的な取り組みとは(4/5ページ)

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空き家発掘から流通・活用を見据えた 『空き家マッチング制度』


川西市の「空き家マッチング制度」ロゴ/川西市都市政策部

川西市で20年9月にスタートした新たな取り組み『空き家マッチング制度』は、官・民に加え、専門家や事業者も参画して、使用されていない空き家を掘り起こし、流通・活用を促す一連の仕組みである。一貫して入口から出口への対策をしなければ、ばらばらに施策をしても解決にはつながらないという経験から制度化された。売買や賃貸の流通だけでなく、空き家の所有者と活用希望者をマッチングさせて有効活用し、空き家問題の解決と地域の活性化を導く。

「長く使われていない空き家は、一般の不動産会社に売れないような問題を抱えているケースが予測されます。過去のヒアリングでは、相続でもめている、接道条件を満たしていない、登記がされていない、解体費用が工面できないなどの問題がありました。しかし、このまま放置してしまうと崩壊の危険や、治安面でも周辺住民に悪影響を与えます」(担当者)

この制度では、まず川西市が保持しているデータや、市民調査員を活用して得た空き家情報をもとに、市から所有者に制度の案内文書を送付する。登録があれば、「空き家流通対策会議」にかけ、所有者の抱える問題点や希望を踏まえ、売却や賃貸など具体的な解決策を検討する。その後、宅地建物取引士などの流通対策アドバイザーを選定し、所有者に対して解決の提案、助言を行う。流通や活用を促すというものである。

「市が空き家を把握していても、データを眺めているだけでは意味がありません。市の方からアクションを促し、『なんとかしませんか、空き家のままで放っておいたらもったいないですよ、活用したほうがいいですよ』と喚起します。市から連絡がくると、所有者もこのままではいけないと意識をする。空き家が空き家であるよりも、流通した方が、地域活性化につながり治安もよくなります。不動産が流通することを市役所としては促していきたいと考えています」(担当者)

続けて別の担当者は次のように話す。

「高齢者夫婦や単身者は、不慮の事故、認知症の進行、老人介護施設に入所などで家に住めなくなった場合、自らの家の処分をしなければなりません。実際問題、自ら処分することができずに放置されるケースも多くなっています。市側からアプローチをして相談に乗りたいですね」

空き家の所有者は、空き家の適正な管理に努めなければならないと法律で定められている。空き家がもたらす問題を解決するためには、所有者自らの責任により対応することが前提となるが、空き家の所有者が遠方に住むなど、管理が行き届かない空き家が増えている。使わないまま放置すると、建物の劣化が進んでいくため、市としても、できるだけ早く流通させたいという思いが強いのだろう。

次ページ ▶︎ | 空き家調査アプリ『空き家しらべーたー』の開発

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