全国初 空き家調査アプリ『空き家しらべーたー』 兵庫県川西市の革新的な取り組みとは(5/5ページ)
ウチコミ!タイムズ編集部
2021/09/24
空き家調査アプリ『空き家しらべーたー』の開発
画像/Urban Innovation JAPAN ホームページ
日々増加する空き家の調査を、市の職員だけで把握するには時間もマンパワーも足りない、と悩みを抱えていた川西市は、Urban Innovation JAPANという、日本全国の自治体の課題とスタートアップ・民間企業をマッチングするオープンイノベーション・プラットフォームの活動を知る。
20年秋、公募で空き家調査を行うアプリ開発事業者を募り、東京のIT企業ユニフィニティーと全国で初めて官民連携で空き家のデータベースを構築・活用するアプリ開発でマッチングし『Urban Innovation Kawanishi』として開発スタートした。21年6月の議会で予算化を経て、21年秋の本格稼働に向けてリリースを待っている状況だ。
この空き家調査アプリ『空き家しらべーたー』は、市民(空き家対策ナビゲーター)が自らのスマートフォンアプリを使い空き家調査ができ、調査結果を現場からデーターベースkintone(キントーン)へ送信され蓄積される。もともと市が持っている空き家データもkintoneに保存し、データが一元化される仕組みである。
空き家調査アプリ『空き家しらべーたー』の仕組み 図/Urban Innovation JAPAN ホームページ
今のところ、行政が収集した空き家調査のデータは、公共目的にしか使えない。しかし、民間企業が独自に調査すれば、営利目的も可能になる。
「将来、不動産業者さんの誰もがアプリを持ち歩き、民の力で空き家の流通が進んでいけばいいと思います。しかも、地図・写真・調査項目の3つが組み合わされたアプリは、すごく便利なので、ジャンルは問わず広く普及していくと予想しています」(担当者)
確かに行政だけでなく、企業が使っても便利なツールだ。使う人が増えれば、アプリは改良され、進化していくと考えられる。この空き家調査アプリ開発をきっかけに、さまざまなアプリが全国に展開する可能性も期待できるであろう。このアプリへの期待は大きい。
「新型コロナウイルスの影響で働き方が変わり、郊外での自然豊かな暮らしに魅力を感じて自ら移住、転入する人たちが増えています。しかし行政は、空き家を流通させるノウハウの蓄積がなく、まだまだこれからという段階です」(担当者)
人口減少により空き家はさらに増加すると予想され、全国の自治体は対策に奔走している。しかし、空き家の管理、売買や賃貸など、自治体の力だけでは解決できない課題にも直面しており、空き家対策は官と民の連携が必要不可欠となっている。
空き家対策は問題が山積みだが、全国の自治体ではこれからも試行錯誤が続くだろう。今後どのようなアイディアで対策を進めていくべきか。その答えは難しい。これからも兵庫県川西市の空き家対策に注目したい。
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