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「禅」から世界の「ZEN」へ――現代人にも大いに役立つ 釈宗演が残した「修養座右の銘」(4/4ページ)

正木 晃正木 晃

2021/08/16

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食事での修行法「赴粥飯法」とは?


イメージ/©︎cokemomo・123RF

「赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)」とは禅宗の食事の作法である。曹洞宗の開祖、道元禅師が作成したものがことに有名だ。たしかに、ちゃんと修行を積んできた曹洞宗の僧侶が、食事をしている姿はまことに美しく、しかも理にかなっている。

食事の仕方は、その人の生まれ育ちを如実にあらわすという。高級な服を身にまとって、せっかく格好を付けていても、食事の際に、正体がばれてしまうこともよくある。

以下に述べる作法を守れば、誰からも尊敬のまなざしで見られること、間違いない。

1)話は一切しない
2)周囲をきょろきょろ見ない
3)背筋を伸ばし、坐禅を組んでいただく 
4)食器の音を立てない
5)食器は必ず両手でもつ
6)隣の人のうつわをのぞき込まない
7)食べるときに音を立てない
8)ずるずるとすすって食べない
9)口いっぱいに食べ物をほおばらない
10)食べ物を残さない
11)もっと欲しそうな態度をとらない
12)食べ終わったあと、舌で口のまわりをなめまわさない
13)皆と食べる早さを合わせる

ちなみに、唯一の例外は、うどんを食べるときである。盛大にすすって、音を立てても叱られない。

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この記事を書いた人

宗教学者

1953年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。専門は宗教学(日本・チベット密教)。特に修行における心身変容や図像表現を研究。主著に『お坊さんのための「仏教入門」』『あなたの知らない「仏教」入門』『現代日本語訳 法華経』『現代日本語訳 日蓮の立正安国論』『再興! 日本仏教』『カラーリング・マンダラ』『現代日本語訳空海の秘蔵宝鑰』(いずれも春秋社)、『密教』(講談社)、『マンダラとは何か』(NHK出版)など多数。

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