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「禅」から世界の「ZEN」へ――現代人にも大いに役立つ 釈宗演が残した「修養座右の銘」(3/4ページ)

正木 晃正木 晃

2021/08/16

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釈宗演が残した「修養座右の銘」

釈宗演は、「修養座右の銘」として、以下の九箇条を残している。元来は弟子となった禅僧のためだが、私たちにも十二分に役立つ。「 」の原文につづいて私が現代語訳したものを記す。

1)「早く起き未だ衣を改めず、静坐一炷香」
早起きして、40~45分くらい線香の香に包まれて背筋を伸ばし、肩の力を抜いて正座しながら、静かな時間を過ごそう。

2)「既に衣帯を著くるば必ず神仏を礼す」
着替えたら、神仏に手を合わせよう。

3)「眠は時を違えず、食は飽くに至らず」
就寝時間は規則正しく、食事は食べ過ぎないようにしよう。

4)「客に接するは独り処るが如くし、独り処るは客に接するが如くす」
人前では独りでいるときのように、ありのままの自分を出し、独りのときは、人前にいるかのように、慎みを忘れずに過ごそう。

5)「尋常苟くも言わず、言えば則ち必ず行う」
禅は必要ないものを捨て去ることが修行だから、余計なことは口にせず、言ったことは必ず実行しよう。

6)「機に臨みて譲ること莫かれ、事に当りて再思ず」
「機」とは仏の教えに従って活動する心を意味する。その心を譲ることなく、なにごともよく考えて行動しよう。

7)「妄りに過去を想うこと莫かれ、遠く将来を慮れ」
過去にとらわれず、これからどうするかを考えよう。

8)「丈夫の気を負い、小児の心を抱け」
立派な大人の気概をもちつつ、同時に子どものような純真無垢な心も忘れないようにしよう。   

9)「寝に就くは棺を蓋うが如くし、蓐を離るるは履を脱ぐが如くす」
寝るときは、お棺に入るときのように静かに寝よう。起きるときは、靴を脱ぐときのようにさっと起きよう。

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この記事を書いた人

宗教学者

1953年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。専門は宗教学(日本・チベット密教)。特に修行における心身変容や図像表現を研究。主著に『お坊さんのための「仏教入門」』『あなたの知らない「仏教」入門』『現代日本語訳 法華経』『現代日本語訳 日蓮の立正安国論』『再興! 日本仏教』『カラーリング・マンダラ』『現代日本語訳空海の秘蔵宝鑰』(いずれも春秋社)、『密教』(講談社)、『マンダラとは何か』(NHK出版)など多数。

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